「狼の生きる街」ボーダーライン(2015) <Sea horse Man>さんの映画レビュー(感想・評価)
狼の生きる街
この作品は麻薬戦争が起きるメキシコでの任務に参加することになったFBIの女性が自分の想像を超える現場を目の当たりにしたことで自身の善意に反している行動の数々に不満を抱いてゆく物語です。
この作品の主人公は紛れも無くこの女性であり、映画での善の定義もこの女性が主軸であるがこの作品の登場人物、一人一人の心情にも共感することができます。
特にベニチオデルトロの演じたキャラクターは主人公とは対照的な考え方をしていたが、彼自身の行動は善とは程遠いものだったが、彼には彼自身の善意があり、非常に考えさせられました。
この作品はメキシコで起こる麻薬戦争を通して人間の善悪を表現していて、そのキャラクターごとの複雑な心境も描かれていて、とても見応えのある作品でした。どのキャラクターの心情も他と異なるもので不必要なキャラクターは多くなかったと思われる。
エミリーブラントのキャラクターは我々の心情を代弁したようなキャラクターであり、一般的な考えであった。彼女はメキシコの麻薬戦争を目の当たりにしたことで彼女は善について考えさせられていくが最後まで自分の信念を曲げることはなかった姿はとても良く描かれていた。
ベニチオデルトロのキャラクターは自分の為だけに任務に参加しているようなキャラクターで復讐心だけで動いているように見えた。今回は自分の目的である殺される家族の敵討ちを達成する為には手段を選ばないようなキャラクターであったが今回でそれは達成されたので続編ではどう描かれるかが気になります。ラストで主人公に言った、「君は狼にはなれない。ここは狼が生きる場所だ。」という言葉がこの作品を表しているような言葉であり、印象にも残っている。