「その善悪にボーダーはありません」ボーダーライン(2015) mimotomimotoさんの映画レビュー(感想・評価)
その善悪にボーダーはありません
ヨハン・ヨハンソンの音楽とロジャー・ディーキンスの画で、始終緊張を強いられる。鼻の下の毛を抜きながらでないと観られない緊張感。
後半はベニシオ・デル・トロの独断場。
公開時のポスターに“その善悪に ボーダーはあるのか”と書かれているし、ニーチェの『善悪の彼岸』を観るような感じかと思っていたけれど、個人的には全くそうではなかった。
善と悪についてというより、原題のとおり、シカリオ(スペイン語で”暗殺者”)の話で、暴力は何も生まないという話だ。
善と悪の境界線について今さら問うのは古い。境界線はない。善と悪は、人間の中で、いつも対等で、いつでも交換可能な本性だと思うから。
あと「そうそう、ドゥニ・ヴィルヌーヴってSFの人になる前はこんな感じだったよね」と懐かしくなった。好きです。
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