「安定の続編。予定調和を安心して堪能できる正常進化の作品。」超高速!参勤交代 リターンズ 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)
安定の続編。予定調和を安心して堪能できる正常進化の作品。
何でか?前作との間に違う作品を挟んでからの続編鑑賞です。
初っ端から既視感満載のスタートです。
私、実は世界遺産の某お城のある街住まいなんですよ。
行列が渡っていたシーンの橋も、幾度となく訪れているんですよ。
それが日常だから、ありがたみもへったくれもないんですよ。
外国人観光客さんが大挙押し寄せても「こんなとこ来て、何が面白いんやろ?」って、つい思っちゃうの。
かく言う私も金門橋渡ったり、サグラダファミリア見上げてみたいんですけれどね。
本文です。
行きがあれば帰りもある。前作の成功に奢らず、さらにスケールアップさせた正常進化の続編でした。
安定の人情味溢れる劇と、クスっと笑えるスパイスが効いている、そんな楽しいお話でした。
松平輝貞(石橋蓮司):「二度と失態を犯すでないぞ!」
松平信祝(陣内孝則):「はーっ!(ニヤリ…)」←絶対に懲りてないやつw
からお話は始まります。イヤな予感しかしません。
陣内さん、前作に輪をかけてアイメイク濃い悪人面です。今度は何をやらかすのかな?
湯長屋谷藩、青天の霹靂の一揆とな?案の定の信祝の仕業です。ちくしょう。
今回は上様の暗殺まで画策する始末。とことんワルよのぅ。全く懲りてない。
そしてこの度も、度量の大きい君主・内藤政醇(佐々木蔵之介)以下、知恵者の軍師・相馬兼嗣(西村まさ彦)、剣豪・荒木源八郎(寺脇康文)を始めとして、一騎当千の活躍を見せる忠義の士たちが本当に頼りになります。
頼りになると言えば前作に引き続き登場の段蔵(伊原剛志)の活躍も光っていました。
組織たるもの、こういう人たちがトップにいなきゃ。脇から支る人もいなくちゃ。下々の民のために一緒に汗を流せる人じゃなくちゃ。
異次元のなんとか対策とか寝言ばかりほざいてる、どこぞの愚鈍たちじゃなくて。←なにげにアナーキスト
前作からの、そんな安定のキャスト陣に加え、新たに魅力的なキャラクターもご登場です。
痺れたのは、何と言っても大岡越前守こと大岡忠相。義と情を併せ持つキレ者を古田新太がご好演でした。
一方の敵方では、憎き信祝に加担する尾張藩主の徳川宗春(田口浩正)も登場。こいつも、信祝に負けず劣らず相当の悪党。
ワルと言えば、尾張の柳生一族の頭の諸坂三太夫(渡辺裕之)。その男気が、敵ながらあっぱれな良キャラでした。同じ一族でありながら柳生玄道(宍戸開)は、とことん小悪党だったんですが。身内の三太夫に背後から刺されても当然。
前作でも感じたんですが。忍者弱すぎじゃね?フルアーマーの暗殺プロ軍団でしょ?湯長屋谷藩の女衆相手に苦戦するとか、面目丸つぶれですやん。
お話が進むにつれ「陣内許すまじ!」の思いがぶり返してきて。リターンズ分で二乗増幅されて。くそう!٩(๑`^´๑)۶
それって“負の感情移入”ができているってことだから、陣内さん素晴らしい演技されていると思ったんですね。映画監督としては大コケを連発しまくっているんですが。←触れたるなし!
そしてお咲(深田恭子)やっぱりめっちゃかわいいです♡(´。・ω・。`)そりゃぁ政醇だって惚れますって。
前作に続き、記し忘れていました。日本一お百姓さんが似合う俳優こと神戸浩の好演も光っていました。
この度の見せ場は千人の軍勢相手に七人&一匹の勇士で立ち向かうシーンなんですね。
軍勢を目前に颯爽と進む七人&一匹の姿、めーっちゃカッケーヽ(^o^)丿
信祝「内藤政醇!謀反の罪により切腹申し付ける!」
政醇「こどわる(断る)。幕府がおろが(愚か)であっがら、もはやじだがう(従う)ごとはでぎねぇ」ここの磐城弁の啖呵がかっちょいいです。「ベンチがアホやから野球でけへん」みたいな。さぁ!クライマックスの開戦です!
各々の持ち味を生かした獅子奮迅の七人の侍カッケーヽ(^。^)ノ です!
でもね、私は、追い詰められた信祝の台詞にはぐうの音も出なかったの。
「ぬはははは!この世は生まれが全てよ!持って生まれた金は、更なる富を生む!」て、悔しいけれど、これほんと。どないかならんもんですかね…
これに対して政醇が返す「ぢがう(違う)!生まれではねぇ!人の大事は誰どであっだ(出会った)かだ!人はたがら(宝)だ!友は…たがらだ…」ってちょっと無力に感じたのは本音。
「あーっはっはっはっはっ!笑止!人は必ず裏切るものよ!」の信祝に対して、政醇「お主、罪を償って湯長屋さごねぇ(来ねぇ)か?」は、さすがに信祝にも「バカか。おまえは?」って言われてもしゃーないって思ったの。だって“裏切る”と書いて“にんげん”って読むんだもん。『下妻物語』で深キョン演ずる桃子もそんなこと言ってたっぽいし。そんなこと思ってる私…たいがい性根が腐っています。
結局、政醇へシンパを寄せる松平輝定の一喝によって兵は引き挙げていきます。信祝(゚^Д^゚)ザマァw
そこへ駆けつける百姓の民たち。「おらだち、殿様守るだー!」&頼りになる大岡越前守も、信祝を謀反の罪で捕らえにご登場で信祝を一喝。完全に詰む信祝(゚^Д^゚)ザマァw
そんなシーンで政醇は輝定へも臆さず「わだぢの望みはだだひどづ、荒れた湯長屋をもどにもどぢていだだきたぐ」と答えます。一方の信祝は「貴様は武士の風上にも置けぬ!引き立てい!」の大岡裁きによってお縄になります。ここ痛快でした。信祝(゚^Д^゚)ザマァw
このエピソードに代表されるように、前作この2作のテーマは「人は宝」だったように思いました。
でも…人ってマジで裏切るんだもん。私の人としての器の小ささを棚に上げて言ってるんですが。どんな半生を歩んできたかはご想像にお任せします。
とにもかくにも一件落着でした。「皆の物、湯長屋藩の参勤交代、これにで仕舞いどする!」
リターンズもこれにて、大団円。
将軍様も「あっぱれ内藤、まやもや湯長屋の土を守りおったか。江戸の土も同じこと。民の土台ゆえな」と感服至極。
どこぞのロケット花火好きのボンクラ将軍も見習えって話です。そんな好き勝手を“遺憾砲”で看過する、どこぞの偉い人らも見習えって話です。←最後までアナーキスト
そんな将軍・吉宗は家臣の「信祝の御沙汰が遠島なのは、いささかご寛容かとの?」の問いに対し、「怒りは敵と思え。堪忍こそ無事長久の元よ(by 徳川家康)」と答えます。
“裏切る”と書いて“にんげん”と読むとかほざいてる誰かさんこそ、この映画に学べ!って話です。
考えさせられました。偉くなればワルになるの?はたまた、ワルでないと偉くなれないの?どっち(。´・ω・)?