劇場公開日 2016年9月10日

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「帰ってきた現代感覚溢れる新時代劇」超高速!参勤交代 リターンズ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0帰ってきた現代感覚溢れる新時代劇

2023年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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本作は、ヒット時代劇の続編。前作は、主人公である東北地方の弱小貧乏藩・藩主(佐々木蔵之介)と家臣達の江戸までの参勤交代奮闘記だった。リターンズという題名から、本作が、本国への参勤交代奮闘記のみだとしたら、二番煎じで、新味がなくなるのでは心配していた。しかし、そんな心配な徒労だった。

前作で主人公達を苦しめ敗北した悪者老中(陣内孝則)が復活して、本国への帰途にあった主人公達への復讐を開始する。そして、職権を悪用して主人公達を藩存亡の危機に追い込んでいく。本作は、藩の存亡を賭け、少数精鋭の主人公達が、知力、体力を総動員し、抜群のチームワークで、悪者老中に立ち向かっていく姿を、時にコミカルに、時にシリアスに描いている。

主従関係が厳しい封建社会である江戸時代でありながら、藩主と家臣との関係はフレンドリーであり、コミカル。本国への帰途での様々な騒動、創造的で奇抜な大名行列、抱腹絶倒の関所通過作戦、などは時代劇とは思えない斬新なアイデア満載で痛快。現代劇を観ているようであり、従来時代劇の枠を突き破っている。

一方で、徳川吉宗など歴史上の人物の登場、時代劇でお馴染みの役者達の所作、豪快な殺陣、勧善懲悪のストーリー、などは本格的時代劇そのもの。特に、悪者老中の舌打ちをしたくなるような傍若無人の悪党ぶりは、超一級品であり、本作は、時代劇としても見応え十分である。

このように、本作は、従来の時代劇の良さは活かしながら、現代感覚を思いっきり盛り込んだ、新感覚、新発想の時代劇である。更に、コミカル場面とシリアス場面のバランスが絶妙であり、ラストで、“人は宝だ”という主人公の人間関係を大切にする考え方も奏功し、観終わって、心温まる作品になっている。次を予感させるラストだったので続編に期待したい。

時代劇の衰退が叫ばれて久しいが、最近、本作のような、従来時代劇に拘らない、現代感覚という新風を吹き込んだ作品が登場してきて、時代劇の注目度が高まってきているのは、時代劇ファンとしては嬉しい。時代とともに進化していく時代劇をこれからも堪能していきたい。

みかずき
みかずきさんのコメント
2023年2月14日

Mさん、コメントありがとうございます。

そうですね。たそがれ清兵衛あたりから、時代劇は変化していますね。
本作のように現代感覚を吹き込む時代劇も良いですが、威風堂々とした正統派の時代劇が観たいです。

ー以上ー

みかずき
Mさんのコメント
2023年2月12日

なるほど!
これも時代劇ですよね。
私は時代劇というと、つい「水戸黄門」のようなものを考えてしまいます。
そう言えば「たそがれ清兵衛」あたりから、時代劇が多様になってきたような気がします。

M