劇場公開日 2017年3月18日

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「将棋に詳しくなくてもストーリーとキャストのおかげで十分楽しめた」3月のライオン 前編 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5将棋に詳しくなくてもストーリーとキャストのおかげで十分楽しめた

2017年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

原作のことはよく知らないし将棋に関しても子供の頃遊んだ程度であまり詳しくはないのですが、でも何の前知識がなくても一人の少年の青春映画的成長譚として十分楽しめた作品でした。
将棋しかない、将棋でしか生きられない、いや、将棋で生きるしかない、そんな状況下に置かれた孤独な少年がもがき苦しみながら成長していく様子は、将棋に詳しくなくても十分引き込まれるものがありました、とても説得力のあるストーリー構成でしたね。
家族も居場所も奪われた少年の立場は、見ているこっちの胃も痛みそうな環境で、もう序盤の内から思わず感情移入させられてしまいましたよ。

一方その幸田家とは対照的な立ち位置として描かれたのが、天使のような三姉妹が暮らす川本家だったでしょうか。
こちらは思いっ切り漫画的、さすがにあの出会いは現実的ではないですもんね、でも主人公の零だけでなく作品としても安らげる一時と言うかオアシス的存在として、物凄く効果的に描かれていましたね、思わずほっこりとした気分にさせられました。
お金払ってでもあのザ・家庭的な温かい食卓にまざりたい衝動に駆られましたよ・・・それにしても、あかり、ひなた、モモの三姉妹、いやぁ天使すぎましたねぇ、そして久々に倉科カナを魅力的と思えました。

勿論、将棋の対局シーンも見応え十分、とは言え、それは役者の演技で見応えを感じれたのであって、戦術的な部分ではどうなんでしょう、将棋に詳しくないのでその辺りはよく分かりませんが何となく微妙だった気はしないでも・・・でも、エンタメ映画としては十分OK、佐々木蔵之介、伊藤英明、加瀬亮、染谷将太(誰かと思ったら)、等々・・・皆見事すぎる演技で、ヒリヒリとした対戦の醍醐味を魅せてくれました。
将棋の対局がこんな激闘だったとは、将棋の奥深さ半端じゃないです、そしてそれぞれが背負ったものの大きさも印象深かったです。

前編だけでもなかなかの長編でしたが、まだストーリー的には何も回収できていない状況ですので、これ単品で評価どうこうは難しいですが、とりあえず後編がどうなっていくのか、楽しみで仕方ないです、エンドロール後の後編の予告編で更に期待が高まりました。
しかし神木隆之介はホント神ってますね、17歳の役でも違和感なし、と言うか他に誰が演じれるか想像できないぐらい、桐山零と同化していた印象です。
逆に義姉役の有村架純は賛否両論ありそうですね、今まで天使のような役どころが多かっただけに、イメージ一新で私的にはこれはこれでありと思えましたが、何せ原作コミック物だけにそう単純にはいかないか、まあ何にしても、零の今後と川本家の動向に期待を寄せつつ、後編を待ちたいと思います。

スペランカー