「未完の傑作を映画化する試みはいかに。」3月のライオン 前編 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
未完の傑作を映画化する試みはいかに。
羽海野チカ原作の超有名漫画の実写映画です。
アニメ化もされています。
アニメももちろん見ていますし、漫画は発売日には買って、
最新刊を読んでは泣き、前の巻、その前の巻を読み返して行き、
結局最初から読み直しちゃう。そういう力のある漫画です。
その思い入れの強い漫画が、映画化されるというわけですから、
見ないわけにはいきません。
昨今、人気漫画は映画化、アニメ化、ドラマ化されます。
一昔前は、メディアミックス≒原作改悪みたいなイメージを持っていましたが、昨今はそうでもないです。
や、そういうのもあるでしょうが、原作ファンをがっかりさせたくない、そのうえで物語を、映画なりドラマなりアニメという、メディアの中で再構築したい、という意気込みに胸熱になる作品が増えたと思います。
映画三月のライオンもまた、成功したと思います。
大変なプレッシャーだったと思いますが、お疲れ様でしたという気持ちです。
まず、キャストがよかったです。
ここが実写化の最初の関門ですからね。
神木くんが生きていてよかったなーと思いました。
香子は発表の段階ではえー?ちがくね?と思いましたが、有村香純の香子、いいと思いました。
後藤と島田は役者の実年齢と役柄が違いすぎね?と思いましたが、イメージはあってるので、まあよしです。
宗谷さんが、加瀬亮の透明感とよく合ってるなと思いました。
何より、ひなちゃんを、ちゃんとその年頃のお嬢さんで、選んでくれたことがとっても良かったです。
朝ドラの『あさがきた』のふゆちゃんで、
これまたNHKドラマ『精霊の守り人』の少女時代のバルサの、
清原果耶ちゃんですよ。2002年生まれですってよ、今年15歳。
まさにひなちゃんの年齢です。
それが、ほんとにホッとしました。演技もよかったですよー。
初々しくて。中学生らしくて。
あと、チビ零くんが、『ぼくのおじさん』の雪男役だった子ですね。演技うまいなーと思いました。
豊悦に「きみは将棋好きか?」と聞かれ、それにすがるしかなくて、嘘だけど「はい」といって将棋の神さまとの契約をした、というシーンが、たまらなく切なく、そこで最初の涙が出ました。
もちろん、二階堂も林田先生もよかったですよ。地味に重田君が森岡龍だったのもええ、気づいていますとも。あまちゃんで、若いころのアキちゃんパパ役だった彼です。
アニメは、原作漫画をほとんど構成も変えずに頭から順番にアニメに起こしています。なので、とても違和感なく見られますし、アニメならではの表現も味わえて、秀作だなーと思っています。
で、そんな成功したメディアミックスがあったうえでの、映画。
時間枠を考えると絶対構成を組み換え、エピソードを削る必要がある映画。
さてどう料理するんだ?というところにものすごく興味がありました。
しかも映画は前後編で物語を完結させなくてはならない。
でも原作漫画は完結していない、アニメも第二期が決まっていて
現在進行形なんですね。
そんな中でどう、描くか。
その点が注目でした。
前編は、零の生い立ち、川本3姉妹との出会い、幸田家・香子との関わり、将棋の世界での出会いが描かれました。
高橋くんの話がないくらいで、うまくまとまっていた印象です。
香子が漫画よりも踏み込んで描かれているなという感じがありました。
あと、後藤と香子って、どういう関係なのかいまいち漫画でもまだわかっていないんですね。そこんとこがどうなるのかなーっていうのが、後編へのフリとして感じました。
まあ、全編は序章なので、いいね!っていう印象だけです。
相変わらず、将棋の内容はわたしまったくわからないので
(駒の動かし方は知っているけどまともに取り組んだことがないので)、語ることができませんが。
新人王になったところで、後編へと続きます。
お話は、すでに漫画で知っているので、海街ダイアリーと同じで、次こうなるよねって先に想像して泣いちゃう感じでした。
映画の出来を評価するには、まあ、後編を見ていないとな、という感じですね。