「正直、もっと泣けると思ったのだが。」リリーのすべて 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
正直、もっと泣けると思ったのだが。
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自分の中の「リリー」の存在に苦しんで、最後には念願の「女性」になれたものの、すでに精神は疲弊しきっていて、あえない最後。
気の毒で痛ましい、という感情は持つのだが、そんなリリーのことよりも、ゲルダのことがずっと気になってしまった。リリーは苦しみながらも、自分のしたいことをしてきた。それに引き換えゲルダは、アイナーの中に隠されていたリリーを、一生懸命理解しようとし、受け入れ、献身的に尽くした。
男前すぎるゲルダの、慈悲深いサポートがあってこそのリリーであったのだ。
ラスト。僕にとっては、風に飛ばされていったスカーフは「晴れて女性になれたリリー」ではなくて、「解放されたゲルダ」に思えて仕方なかった。あの最後の笑顔に救われた。
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