「行き場」バンコクナイツ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
行き場
前作「サウダージ」では、アイデンティティを失ってしまった行き場のない日本人が、現在の閉塞した日本社会の象徴の様に描かれていました。今作「バンコクナイツ」では、タイという異国で日本人というアイデンティティを捨ててしまった日本人が描かれています。
日本で言われる正しさは、無味無臭の世界。でも、世界は沢山の色で溢れていて、匂いがあって、正しくないことがいっぱい。「サウダージ」公開時より日本の閉塞はより一層強まっていると思うのですが、環境を変えて、違う価値感、知らない人達に触れることにより、沢山の匂いと味がしてくるのでしょう。わざわざ「自分探し」なんてお題目なんかがなくても、無味無臭から自分の匂いになると、日本人というアイデンティティが必要なくなるのかもしれません。
オザワなどの日本人とは逆に、ラックの方がイライラしながら頑張っている日本人みたいでそこが印象的でした。
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