「肉欲だけだと浮遊する」オオカミ少女と黒王子 Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
肉欲だけだと浮遊する
dTVで閲覧させていただく。これも漫画が原作か。高校一年生の設定だと思うが、その頃は多分16歳位だったと思うが、交際相手のいる女子集団は、性行為をあっけらかんとやっているような会話が学校で交わされた時点で、何か間違った日本社会の現状を垣間見せているシーンだと思った。ただ、早熟な性の人生でも、その特定の早く出会った相手と添い遂げる人もいるから一概に駄目だと言い切れないところもあるが、それだけ愛せるならば結婚して性行為の順番くらい守れるはずである。そうでないから軽いのだし、別れて複数相手にああんうふんと痴態を見せる人生となる。そういう人達は脇役で、女を犬だと言うような男が主人公だが、その男は恋愛なんて遊びで自己愛なだけでやってるんだと言うくらいの男のほうが硬派であり、こうした擦れてしまった時代に、すれた感性でしかなくなってしまった現在の人達に問いかけているのは、そうした男児のキャラクターであるのだろう。安易に16歳位でなんだかわからない男にきゃあきゃあいって性行為してしまったような女はまさにくだらないのだろう。この映画の監督もこうした映画を撮り始めていったようだが、最初はピンク映画出身だというのも、時代に錯綜された人生だったからかも知れない。最初は事情があって疑似恋人だったのがだんだん本気になってしまうと言うのも、交錯してしまった時代に、見合い的な感性を思い出させる装置なのかも知れない。観ていないが、テレビでも最近、
星野源と新垣結衣が似たような展開で大ヒットしたようだ。内心優しいのに、相手を軽くさせないために突っ張った態度をとるのも硬派の気立てなのだと思う。途中でかっこ悪い肉体だけ目あての
遊び人ナンパ野郎の大学生みたいなのが一瞬だけ出て来る。そして男の姉貴も硬派として出て来る。主人公の男は言う。「女300人集めたって本気で守れる一人の女がいなければただのゴミ山だ」。評価を下げるのはキスでなければ伝えられないわけではないというところだったが、原作で、結果的に夫婦になっているのだから、覚悟の本気を示したとゆずってしまいたくもないが、これが現在の状況であるか。がっかりはした。校風とかにもよるのだろう。しかし真面目な学生も出ていた。山崎賢人は『四月は君の嘘』の芝居は合っていなかったと思うが、この映画では持ち味が出たような感じを受けた。