「「復讐するは我にあり、我これに報いん」」レヴェナント 蘇えりし者 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
「復讐するは我にあり、我これに報いん」
19世紀のアメリカ北西部を舞台に、実在の猟師ヒュー・グラスのサバイバルと復讐を描いたウェスタン・アドベンチャー。
監督は『バベル』『バードマン』の最高に名前が覚えづらいオスカー監督のメキシコ人、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
主人公ヒュー・グラスを演じるのは『タイタニック』『インセプション』のレオナルド・ディカプリオ。
グラスの仇敵フィッツジェラルドには『インセプション』でもディカプリオと共演しているトム・ハーディ。
部隊の隊長アンドリューには『ハリー・ポッターと死の秘宝』『アバウト・タイム』のドーナル・グリーソンがキャスティングされている。
👑受賞歴👑
第88回 アカデミー賞…撮影賞、監督賞、主演男優賞(ディカプリオ)の三冠を達成‼️ディカプリオは自身初のオスカーを手にした。
第73回 ゴールデングローブ賞…監督賞、作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞(ドラマ部門)の三冠を達成‼️
第69回 英国アカデミー賞…作品賞、音響賞、主演男優賞の三冠を達成‼️
第21回 放送映画批評家協会賞…主演男優賞!
あのレオナルド・ディカプリオが、グリズリーと戦ったり動物のレバーを生で食べたり魚を『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムの様に貪り食ったり滝に落ちたり馬の死体の中で眠ったりする映画。たまに喋る。
こだわりにこだわり抜いた撮影によって映し出される西部開拓時代の世界は非常に美しく、また残酷。
画面越しにも寒さが伝わってくるような世界で、必死に生きようともがくグラスの姿を見るだけでとてつもなく疲れます。
160分近く上映時間があり、その時間の大半はグラスが呻きながら地面を這っているという地味な絵面。
しかし、レオナルド・ディカプリオの圧倒的な演技(過酷な撮影により本当に苦しんでいるだけな気もするが…)により、画面に引き込まれるので退屈はしなかった。
いくら実話を元にしているとはいえ、さすがにちょっと盛り過ぎではないでしょうかね。
あんだけボロボロにやられておいて、しかも応急手当てしかされていないのにも拘らず、どんどん元気になるグラスの超人さは一体なんなのだろう…
滝に落ちても、崖から落ちても死なず、瀕死の重傷でありながら複数のインディアンや白人とも渡り合う。
80年代のアクション映画の主人公よりも多分強い。
シナリオは昔ながらの仇討ち物。いろいろと哲学的な展開もありますが、基本はわかりやすい単純な映画。
かなりキリスト教的な思想が重要なポイントとなっているので、キリスト教徒であったり、特別な知識があった方が作品に入り込めるかも。
クライマックスの一騎討ちは往年の西部劇のようで非常に燃える!本当にシナリオは徹頭徹尾王道。
とにかく、ディカプリオの頑張りを見る為の映画といってもいいほどのディカプリオ祭り。
しかし、ただのディカプリオ・ファン・ムービーではない。
ディカプリオとトム・ハーディ、ディカプリオとグリズリー、白人とインディアンといった対立の構図を複数登場させて、その中でのやったりやられたりの無常感が映画を支配しています。
それぞれが生きていく為に命を奪い合わなくてはならない。大自然の中にあるのはただそれだけの、単純な自然の掟である。
その中で復讐心を持つことのなんと無意味なことか。映画のラストはまるで視聴者にそう投げかけているようです。
全体的に暗くて静かな映画ですが、個人的にこういった作品が好きなので割と評価が高めです😊
全てを終えて、大自然に還ってゆくディカプリオ…いやいや人間社会に戻ってましたけど。
厳しい大自然とサバイバルに重点が置かれていて、復習終わったときにはホッとしました。