劇場公開日 2016年4月22日

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「レオはグラスの旅路以上に、“意志(“遺志”とも形容できますね)”を具現化したんだと思う。」レヴェナント 蘇えりし者 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5レオはグラスの旅路以上に、“意志(“遺志”とも形容できますね)”を具現化したんだと思う。

2016年12月27日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

悲しい

知的

死んだホークの亡骸を惜しみながら立ち上がる、あの時のグラスの顔はあまりに真に迫ってました。レオがすごい役者なのは既に知っていたはずなのに、それでもこの時見た表情はきっと忘れられないでしょう…。あとフィッツジェラルドを追いつめた時に突き付けられた”息子は帰ってこない”の台詞を反芻するグラスの表情、その場面も異常なくらい鮮烈に焼き付きました。ここでようやくレオのオスカー受賞がやっと腑に落ちました(今日まで実感涌かなくって。ファンとしてどうなんだろ)。

忘れれない繋がりならフィッツジェラルドの台詞もです。テキサス義勇兵時代の父が”神を見た”と話した場面。見たのはリス一匹ですが、本当にその父親は神を見たかもしれませんね(確か日本では物に”神が宿っている”ってありますよね)。この世に神がいるかどうかは僕にはさっぱり分かりませんが、人の意志が介在できない”概念”はいると思います。『レヴェナント』はオーソドックスな復讐譚を纏いながら、実際は”目視不能の(スピリチュアルとも言えるかな)世界”を描いているのでは?それは”運命””創造主”、あるいは”命”や”死と再生”、”邂逅”や”醜悪さ”…(『ゲド戦記』の言葉を借りれば)つまり「見えぬもの」ですね。

ただ道程をなぞっただけでは得られない感情を、この映画は限られた時間の中に凝縮してます。魂の深淵にまで轟く映画になってるはずです。勿論娯楽重視でないので、必ず人は選ぶでしょうが…。

平田 一