「ビックリするほど、何も来ない」レヴェナント 蘇えりし者 ショーンOさんの映画レビュー(感想・評価)
ビックリするほど、何も来ない
この映画はいろいろなことを考えさせる。
まず、主演男優賞とはいったい何なのか?30年程ずっと疑問に思っているが、今回はわかりやすい。どうやら一番頑張った人に与えられる賞のようだ。ディカプリオの今回の頑張りはかつて受賞できなかったいかなる映画よりも頑張っているように思える。アカデミー賞を獲るぞ、という気迫は全面に感じ取れ、結果がついてきて本当に良かった。
次。クマという動物はどういう力加減で襲ってくるのか?
一発で殺せる相手をギリギリな感じで生かして、いったん休憩してまたギリギリ死なない感じで襲ってくるというのは勉強になった。ま、一撃で殺してしまっては頑張ってるディカプリオが報われず、映画もそこで終わってしまっていたので好都合な習性だった。
途中、その人を選んだらアカンやろ、という人を隊長が選ぶシーンがあった。隊長は後々痛く後悔している感じだったが、いやいやいや。あれはアカンで。絶対そいつ選んだらアカンで、と映画館全体で突っ込むべきだった。リーダーシップを問われる人選だった。
ま、その人選の結果、当然と思われる悲劇が起こったわけだが、ここまで、おおよそ映画の予告編で聞いていた内容なので、特に驚きはなかった。
しかしながら。
予告編も考え直してほしい。だいぶ、物語の深いところまでいってしまっている。
結局、ここから先まさかただ単にサバイバルして、復讐するような展開になるんじゃないか?という疑念の元物語は展開するのだが、まったくもってその予想を裏切ることなく、ただただ壮絶なCGとディカプリオの頑張りが展開される。
考えてみたら、欧米のアメリカ原住民侵略戦争というのはそれ単体で大きなテーマである。
ところがこの映画はびっくりするほど、この側面については核心をつかない。主人公は中立的な立場のような描かれ方はしているものの、その辺はかなり曖昧な描写になっている。
見事なまでに暴力シーンや大自然や馬の体内などの描写ははっきりと表現しているのに、難しいことはいいじゃないですか的な感じになっているのは作り手のどういう意図なのか?
終わってみれば結局なんだかよくわからない映画でした。