「軽い気持ちで観てはなりません」レヴェナント 蘇えりし者 chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
軽い気持ちで観てはなりません
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人間は地球上で唯一、火を使える動物。
高等知能を備えるがゆえ、プライド、尊厳、アイデンティティ、
様々な感情が渦巻きぶつかり合い、争い合う。
しかしそんな高等知能を持つ人間でも、太古からそこに存在する
大自然をあやつることはできない。
時に荒々しく猛威をふるう地球の前では、人間も所詮は
数多の動物の一種。
肉体も感情も全て飲み込まれてしまう。
なんだか不思議ですが、人間は他の動物とは全く異なる生物、という
思いと、人間も他の動物と変わりはない、という思いがごちゃまぜに
湧いてきます。
人間含む、全ての動物に備わる「生きのびる」という本能。
主人公グラスも瀕死の状態で、熾烈な大自然のど真ん中で
生き延びようと必死にもがきますが、これはフィッツジェラルドへの
復讐心があってこそ働いた本能。
そこまでして?
そこまで身を削って、人間としてのプライドを捨てて、動物になり、
もう元には戻らない息子のために、一人の男を追う?
わたしには到底わからない…あ、もうわたしここで死んでいいや、
てか死にたい、と何度思ったことか!
目前に迫る残虐な殺し合い、到底太刀打ちできない過酷で圧倒的な自然と、
一人の人間の尋常とは思えない執念とが全身に重くのしかかり、
疲労困憊してしばらくトイレでほっと一息…。
その後も1日ぐったりで、心身ともども削がれ軽くトラウマですが、
またもものすごいものを、撮ってくれたこの監督には
尊敬どころかもう畏怖の念すら感じます。
ぜひともIMAXで観てください。
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