パリ3区の遺産相続人のレビュー・感想・評価
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単純な遺産相続の話かと思ったら…
互いの親の不倫によって傷ついた子供達(子供と言うには歳がいっているが)の話だった。
不倫している当事者は必ず誰か(家族)を傷つけているって事。
92歳のマティルドが不倫相手の奥さんが自殺で亡くなった事を知ったのは、死ぬ前に下された罰のようなものなのかな?と感じた。
マティアスとクロエ、似た者同士、一緒になるなんて、お互い血の繋がりが無いと分かったから、良かったけど、クロエと家族になると言う事は当然マティルドとも家族になるって事で…複雑。
自分の不幸と親の関係
同じ人の事なのに、関係が違うと全く違う人のように思われる事がある。
マティアスの父で、マティルダの恋人だった人はもう亡くなっている。その父の遺産を目当てにマティアスはパリにやってくる。
マティアスにとっては、子どもの自分を愛していたとは思えない父。母を不幸にした父。
マティルダにとっては、生涯の唯一人の愛する人。彼の妻よりも彼の事を知っていると思っている。しかし、マティルダは他の人との結婚を維持しつつ、約20年の関係を続けていた。
マティアスは3回離婚しているが、関係に正直に生きてきた。
この遺産を息子に託した父の意図は何?
マティルダがまだ生きているから、存命中に父と子はわかりあえなかったのか?
正直に生きるには対価が必要。
でも、人生は裏切らない。
一見、上手くいった?のかもしれないが、マティルダの知らない、次の世代で、血や涙が流されていた。
マティルダが進行に連れて、自分中心のふてぶてしい人に見えてきた。
恋せよ、花散り際の大人たち
お一人さま大人男子がお一人さま大人女子に「君は美しい。花は散り際が美しいんだ。」っていいじゃん。
未成年のお子さんがいる父母は価値観、倫理観を再確認しましょう。
viager の日本導入は要検討だね。
オチナシのフランス映画にあって、珍しく謎解きの要素がストーリーにメリハリ
本作は、ニューヨークからやって来た主人公の男が経験するカルチャーギャップとパリならではの素敵な恋の物語です。
「ヴィアジェ」というフランス独特の不動産売買制度をこの映画で初めて知った。先ずはここを押さえておかないと、阿部寛のように「なんのこっちゃ!」とドラマの世界に入れません。
「ヴィアジェ」とは、売り主は売却した不動産に死ぬまで住む権利があり、買い手は代金として、毎月一定の金額を年金として売り主に支払う制度です。売り主が物件を無償で取得できます。なので早く亡くなれば、買い手は安価でその不動産を手に入れることができ、長生きすれば、いつまでも払い続けなければならない。まるで人の命を賭けるような制度なんですね。
疎遠だった父を亡くしたマティアス(ケビン・クライン)は、パリの高級住宅相続のためニューヨークからやって来ました。一文なしの彼は、高く売れることを期待しますが、そこには老婦人マティルド(マギー・スミス)が娘のクロエ(クリスティン・スコット・トーマス)と住んでいたのです。しかもヴィアジェ契約であるため、毎月2400ユーロ(約32万円)を払わなければならないことになっていたのでした。
マティアスは、超然としたマティルドに戸惑い、敵意を見せるクロエと反発しあいます。しかし、マティアスの父とマティルドの意外な関係が明らかになり、3人の心の距離が次第に近くなる。反発していたクロエとも親密になるものの、父が残した秘密が、ふたりの関係に重くのしかかります。
テーマは仏文化と格闘する米国人であり、家族関係の見つめ直しです。元が舞台劇だけに場面転換が少なく、舞台はもっぱらアパルトマン。どうしても3人の会話が中心になるため、俳優の演技力が大きなカギを握ることになってきます。それでも、主な登場人物を演じる3人が絶妙のハーモニーを紡ぎ出します。マティアスが借金しかないという負け犬設定なのに、クラインが演じると余裕が感じられ、物語に温かみとおかしみが加わりました。
ヤマナシ、オチナシのフランス映画にあって、後半父の残した秘密を巡る謎解きの要素がストーリーにメリハリを付けてくれました。そこに主人公の恋の結末も絡んで、ちゃんと落としどころを付けてくれたのです。
エンドロールにも、この物語の顛末が語られるので、お席をたたられるように最後までご覧ください。
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