後妻業の女のレビュー・感想・評価
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キャストがいいだけに…
豊洲で鑑賞。薄っぺらな人間のバイタリティーをしのぶさんと豊悦さんが眼光鋭く描きます。惜しむらくは耕造を小夜子が虜にし、たらしこむ後妻業の実態のくだりが欠落している点で-3。だから後半部が冗長でハセキョーさんのテーマが唐突なのです。あさみさんとの絡みも含めて全体的に伏線不足。場当たり的かつ皮相な受け狙いにとどまらず、もっと人間心理を深く掘れた筈。しのぶさんも疑惑の桃井さんに充分匹敵、演技陣が隙のない安定感を誇るだけに残念です。それでも雰囲気は充分楽しめます。伊武さんと鶴瓶師匠には笑えました。
後半の失速感
いくら豪華俳優陣でテレビで宣伝しようと、こんな内容の映画なんて今時流行らないだろうと思いつつも、こういう染みったれた日本映画を絶やしてはならないと、期待を込めて観に行った。期待通りの昭和な、というか今でも、いや今だからこそよくあるだろう詐欺をねっとりと描写してゆく様に見入っていたのだが、後半の、柄の悪いオザケンが全く先を考えない行動をして行くあたりから展開が雑になってきて、あまりのめりこめなくなってしまった。警察にあんなの見つかって(そこもちょっと不自然)そんなお気楽に次へは行けんだろ〜。いかにも正義漢な濱マイクが、本性を見せるところは良かったけど、もっと納得のいく落ちが欲しかった。
「黄昏のビギン」と「Do you wanna dance」
「後妻業の女」というタイトルと大竹しのぶで大体想像は付いていた。観たらそれを上回っていた。大竹は言わずもがな、トヨエツも良い。この二人のキャスティングでこの映画は決まった。脇やちょい役にもキャラの立つくせ者役者を揃えて小悪党の大競演、楽しめた。
何より音楽が良かった。ギターのバンド音楽、でもロックじゃない。ブルースやジャズ系。この劇伴がコテコテを洗練されたものにしている。セミアコのピッキングが画面にスピード感をあたえる。さらに大竹がアカペラで口ずさむ「黄昏のビギン」、秀逸。「Do you wanna dance」(ベット・ミドラー)、これが大竹が死んだ(らしい)ところに流れた時は鳥肌もの。コントラプンクトとは正にこのこと。既成曲の使い方、出色!
ザ・ブラックコメディ
日本のブラックコメディは、遠慮している感が出ていてつまらないが、本作はブラックコメディらしいシーンが満載で飽きずに見れた。
まず、驚いたのは鑑賞者の年齢。熟年夫婦とみられる方々がたくさんおり、かなり違和感。最近の映画では感じたことがなかった。
また、キャストの名前が出てくるオープニングとエンディングがなんとも簡素で逆に新鮮。
あのくらいでいいと思う。
さて、監督が監督だけに、濡場が多かった。(最近の日本映画は濡場が多いと感じるのは自分だけ?)
ただ、見てられないほどのものではなくまた主人公がどのように後妻業というビジネスを行う上で必要な行為だとわからせるために必要なシーンだったのかもしれない
ただ、トヨエツの濡場については必要だったのだろうか。まぁそういう仕事をしている上でのシーンだと思うが。樋井さんの濡場はどこかで見たな…と思ったらさよなら歌舞伎町だったか。とても印象的。
男をとっかえひっかえしているシーンもブラックで面白かったし、探偵の行動も面白かった。
金をめぐる、後妻業というビジネスをこういうコメディ仕立てで表現することが大事だと痛感したし、劇中で、被害者が恥ずかしがってる様も実際もこうなんだろうな…と考えさせられた。
大竹しのぶはこういう憎まれ役を演じさせるとすごいな…どんな逆境でもピンピン生き延びる姿を演じる彼女は本当に凄かった。
尾野真千子の遠慮気味のビンタ
ベテランの実力派俳優陣の中にあっては演技派の風間俊介も若干浮いてしまうなぁと。私は邦画の大きな声で泣いたりわめいたりする演技が苦手で、彼の中にそういった部分があったのが気になった。まぁ、そういう役だから仕方ないんだけど。
ただ、物語もなんか中途半端。テーマや登場人物もわかりやすくていいんだけど、山場がどこなんだとか、釈然としないオチであるとか、なんかまとまりがない。悪が成敗されるのでもなければ、無情なやるせなさがあるわけでもない。私的には竿師との攻防とか、小夜子の生い立ちであるとか、その辺りがあるとまた印象が変わったんじゃないかと。まぁ、要するにスカッとしなかったということ。
伊丹十三作品っぽい
全体的な感じが伊丹十三作品っぽい雰囲気の印象を受けました。
ストーリーは、
柏木、小夜子、探偵のかけ引きが面白い。
最後に、「殺しても死なない女」と思わせる演出は好きです。
見ていると、小夜子が悪女過ぎて、
どうしても、朋美側の視点で見てしまう…
オチも、亡くなった人には感謝されてたっていうのは、
完全に悪じゃない感じで良かったと思います。
小夜子は、そんな事考えていないんでしょうけど…
あと、樋井明日香ちゃんにヌードシーンがあるのに驚きました。
大人っぽい小学生ってイメージでしたけど、もう25なんですね。
時が経つのは早いです…。
タチの悪い、笑うに笑えない映画
『○○○の女』といえば、伊丹十三『マルサの女』『ミンボーの女』などが、すぐさま思い出されます。
どちらも、念入りなリサーチに基づいた、社会派情報サスペンスコメディ映画。
本作はいかに。
人生80年時代。
しかし、一生添い遂げる夫婦も少なく、添い遂げたとしても、連れあいに先立たれて、独り身となってからも長い時間がある。
そんな現代では、熟年老年男女の婚活も盛ん。
武内小夜子(大竹しのぶ)は、何度も結婚して、相手の財産をモノにして、死別肥りを繰り返している女。
しかし、小夜子を裏で操っている男がおり、それが結婚相談所所長・柏木亨(豊川悦司)だった・・・
というハナシで、出だしは快調。
小夜子が繰り返してきた後妻情況を短い時間で紹介するので、本家・伊丹十三の情報コメディっぽくてよい。
ところが、直近の結婚相手・中瀬耕造(津川雅彦)の死と財産分与に不信を抱いた娘・朋美(尾野真千子)が探偵(永瀬正敏)を雇って調査するうちに、映画はヘンな方向に行ってしまう。
この手のコメディ映画では、犯罪スレスレのところを巧みに切り抜けて、「ほほぉ」とか「なるほどぉ」と思わせながら、おもしろおかしく見せていかなければならないところを、小夜子と柏木が実際に手を下してしまう。
こうなってしまっては、なんだか松本清張の亜流、それも出来の悪い亜流になってしまって、笑うに笑えない。
その上、探偵も下劣ときては、噴飯ならぬ憤慨もの。
原作小説は読んでいないので、どうとも言えないが、原作タイトルは『後妻業』。
後ろに、「の女」と付けて映画化するのは、小夜子と柏木と同程度、もしくはそれ以上に質(タチ)が悪い。
できれば、「合法だけれど不適切」あたりでとどめる、もしくは「犯罪スレスレだけれど、致し方ない」のレベルにしておいてほしかった。
劇中、柏木が「これは、独り身の老人にとっては功徳や」というセリフが、まったくもってアサッテの方向にいってしまっている。
<追記>
大阪が舞台で、出演者全員が大阪弁を使うのですが、いやはや、大阪のイメージダウンも甚だしい、腹立たしい。
その上、監督の名前が、大阪の町の名前と同じく「鶴橋(康夫)」というのだから、悪い冗談にしか思えない。
個人的にはツマラナイ映画だった
犯罪作品でもなく、正義の映画、恐怖作品でもなく、サイコサスペンスでもなく、お笑い映画にしたいけど、あまりに現実が近くにあることから笑うこともできない映画だなぁと思って試写会を見終わりました。
映画自体のストーリーは結婚相談所に登録している成功者として隠居した男性をこの相談所の社長の指示で、大竹しのぶ(社長の言葉では「罪悪感の無い女」)が付合いを始め、最終的には公正証書を作成し、財産を乗っ取り、この乗っ取った財産を現金化し社長と女の2人で山分けする。この悪行を見抜いた弁護士と娘と探偵が調査し証拠を作るが探偵が更なる曲者で、社長と女を強請ると言うお話で、人間の業が広がっていってしまうと言う内容です。
個人的には感動も無く、笑いも無く、なんのためのセックスシーンなのかも判らず、結局これは一部のファンのためにある映画なのではないかと思いました。
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