「☆☆☆★★ 初めて「イエローキッド」を観た時の衝撃は忘れられない。...」ディストラクション・ベイビーズ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ 初めて「イエローキッド」を観た時の衝撃は忘れられない。...
☆☆☆★★
初めて「イエローキッド」を観た時の衝撃は忘れられない。
僅か200万円で製作された日本のインディペンデントの映画が、数百億の巨費を投じたハリウッドの超大作より、遥かにスリリングで映画的興奮に満ち溢れていたのだから。
監督真利子哲也は、「極東のマンション」に於ける内側からの危うい暴力の沸き上がりを携え、世界の映画界に対しての宣戦布告を行った。
そして私が驚愕した「イエローキッド」では、妄想と現実との狭間で責めぎ合う暴力への誘いを提示し、主人公を介した監督自らの暴力に対する殻を割り始めたのだろう。
だが、それはまだ自身の内なる闘いの一つにすぎなかった…とは言えないだろうか?。更なる暴力の爆発は今回の序章にすぎなかったのだ。
今回真利子哲也が描く暴力の世界観は、SNSを介して徐々に社会へと浸透して行く。その実態はまるで、ウィルスが寄生虫の様に動物を媒介し寄生して行く様を見せられている様だった。或いは、宇宙人が人間を侵略して行くかの様に…。
「イエローキッド」のラストでのどんでん返しを押し進める様に。今回の作品では、冒頭とラストに於けるあざやかな切り返しを見せ、映画作家としての進化を世界に示す。
今後益々、真利子哲也ウィルスは世界へ向けてばらまかれて行く事だろう。
2016年5月26日 テアトル新宿
コメントする