「期待していただけに残念!!」ルドルフとイッパイアッテナ 臼井さんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していただけに残念!!
色々と端折り過ぎて上っ面をなぞっただけの作品になってました。
そもそもが小学校中学年程度を対象にした児童文学なのだから、対象年齢もそのくらいに合わせればよいものを対象年齢を幅広くする為に変に分かりやすくしてしまったせいで薄っぺらい薄っぺらい。
原作が書かれたころとは時代が変わり猫の飼い方は完全室内飼い推奨、人間の食べ物を与えないようにする、高速道路はETC主流で料金所も変化してるなどで色々と変更しなければいけなかったのは分かるのですが、そこ抜かしちゃダメでしょな事が多々。
ルドルフは普段から自由に家から出られる環境で隣のお姉さんの職場のロープウェイに乗ったことがあるからロープウェイが懐かしい景色だという前提とか、死にそうになるほどつらい状況で高速道路を歩いてそのあとで浜名湖でウナギをもらって生きてる喜びかみしめるとか、かたき討ちでデビルと戦ったときも溺れたデビルが岸に上がりかけたら耳を噛んで岸に挙げさせないで本当は溺れさせて殺すつもりだったのを途中でこの辺でやめておこうと許す気持ちになる描写もなく。
噛まれたら痛いという事を覚えておけのセリフも耳を噛んでないので省略。そもそもイッパイアッテナから血が流れている描写もなし。
しかも、デビルとの仲直りのきっかけ、『散歩中のポインターにルドルフとブッチーが襲われそうになっていたところをデビルに助けてもらう』がすっぽり省略されて無くなってるとか、イッパイアッテナの飼い主(日野さん)が帰ってきてルドルフも良い暮らしになったところで自分の飼い主は日野さんじゃないなぁと思って岐阜のりえちゃんの所へ一度もどる事にする心の動きとか、東京暮らしが楽しなってきてた事もあっていつでも帰れると帰るのを後回しにしてたから次の猫がりえちゃんちにいるのも自業自得だとちょっと心を痛めるとか、顔を見たら決心がゆらぐからりえちゃんの顔も見ずに声だけ聴いて帰るとか、東京を竜宮城に例えるとかそういうのは無しなの??
イッパイアッテナの性格もかっこよくなり過ぎで、もっと下町育ちらしい言葉づかいだったり、一生懸命生きていても遊んじゃう猫らしい一面とか(雪の日に屋根に積もった雪でエベレスト登頂ごっこしたり護身術に必殺技みたいなへんな名前をつけたり)の部分も省略。小さいけれど良いエピソードが無くなっているのは本当にもったいない。
だってイッパイアッテナがただカッコイイだけじゃツマラナイでしょう??
ブッチーの色が三毛っぽいのも気になって・・・三毛の雄猫は生殖能力無いんじゃないか??
そしたらミーシャとの子供のチェリー生れなくなっちゃうじゃんか!!
給食室のおばさんに縁起悪いって言われてちょっと凹んで、でも黒猫である事に誇りをもってたルドルフが『この時ほど黒猫である事を残念に思ったことは無い』と思ってしまうくらいクマ先生が夜の黒猫を見つけるのが遅い事にイライラしてしまうとか(もちろん地面に文字なんて書かない)
もう可愛らしいキャラクターが滑らかに動いているだけに本当に残念で残念で・・・・
入門としては映画も良いのかと思いますが、映画を面白いと思ったのだったらぜひ原作の本で読んで欲しいし、子供だましすぎると映画が詰まらなかった人にも映画はつまらないけれど原作は深くて面白いのでぜひ本で読んで欲しいです。