劇場公開日 2016年10月14日

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永い言い訳のレビュー・感想・評価

全181件中、1~20件目を表示

4.5疑似主夫の発想が見事

2020年8月30日
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鑑賞方法:VOD

愛する人の死は悲しい。悲しいのが当然のはずである。
しかし、この映画の主人公は、その当然に該当しなかった。映画は妻の死を悲しめない男のやり場のない感情をつぶさに描く。西川美和監督の人間の見つめ方は相変わらず、するどい。冒頭、髪を妻に切ってもらう主人公の描写がいい。妻に何もかも任せているにもかかわらず、不満ばかり言う人間なのだというのが見事に伝わってくる。散髪というのは、考えてみると奇妙な場面だ。刃物を持った人間の前で無防備に身動きとれない自分をさらすわけで、そこには信頼関係がないとできない。そして、至れり尽くせりになっている状態に、なんだか可笑しみを感じる。
そして、本木雅弘に疑似的な主夫をやらせたのもうまい。自分と同じく妻を亡くした男性の家庭を助けるために、主夫に徹することで、誰かに必要としもらうことで、主人公は悲しめなかった自分を見つめなおすきっかけを得る。妻を失った男同士に絆が生まれるというのは、BL的な想像力も働く。西川監督は何かBL作品を参考にしたのだろうか、気になっている。

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杉本穂高

4.0『そして父になる』へのアンサームービー?

2017年1月31日
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鑑賞方法:映画館

知的

妻を亡くしても悲しみを感じられない男が、自分がいかにマトモでないかを認識していく物語だ。アメリカ映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』と似通ったプロットだが、同時に是枝監督の『そして父になる』も思い出した。

『そして父になる』は、エリート意識にとらわれた男が父親としての愛情を見つけ出す話。その触媒になるのが貧しいが愛情豊かな別の家庭という点でも本作とよく似ている。

ただし、西川監督は「親は、夫は、家族はこうあるべき」という結論に向かおうとはしない。本作の主人公は物語の冒頭からして、性格のねじくれた、相当に面倒くさいダメ人間だ。それが倫理的な正しさに目覚めるのでなく、ろくでもない自分を認識した上で、ちょっとマシな人間になる。

しゃっきりしない話ではあるが、ある意味ストレートな成長物語だった『そして父になる』の反歌のようで、似た素材でここまで違うものを描く西川監督の手腕を楽しんだ。

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村山章

4.0心を抉るような鋭さと、深く抱きしめる優しさと

2016年10月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

突如の別れはどのように受け入れられるものなのか。遺された者はそこで何を感じるのか。

主人公が即座に感情表現できる人であれば本作は成立しえない。その分“サチオ”はうってつけだ。2時間かけてゆっくりと寄せる喪失の波。いやむしろ「一向に泣けなかった自分」についての探求の旅というべきか。その意味で彼は、最後まで己にしか関心のない人間だったのかもしれない。

しかしそれでも心に差し込む光の角度だけは、徐々に、確実に変わりゆく。妻への思いは曖昧だが、この先の生き方として、「他人との間」にこそ自分の現在地を見出していくような気配が見て取れる。そのことが何よりの尊さを持って胸に響く。

「オンブラマイフ(優しい木陰)」の調べに乗せ靄を進む列車は人生の縮図のようだ。共にいた人が下車し、新たな旅人と旅を続ける。そうやって木陰を求め人は彷徨う。西川監督はまたも、慈愛と切れ味が同居する演出で人生の本質をすくい取って見せてくれた。

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牛津厚信

4.5「おくりびと」に並ぶモックンの代表作

2016年10月17日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

知的

テレビに出演するような有名作家だけれど、本業の執筆に生きがいを感じているようには見えない。無名時代に支えてもらった妻との愛は冷め切っている。妻の留守中、自宅で浮気相手と一夜を過ごした朝、妻の事故死の報を受けるが、悲しむ感情すら起こらない……。

外づらはいいが中身はダメダメな中年男を、本木雅弘が説得力十分に演じている。別の遺族一家に出会って、子育てを手伝っていくうちに変わっていく過程の表現もうまい。

妻役の深津絵里は、諦念を漂わせるクールな美しさが光る。出番が少ないのがちょっと残念。

西川美和監督が映画に先駆けて描いた原作小説にも同じ空気が流れていて、ちゃんと地続きの世界観なんだなと思わせる。映画を楽しめた方、小説もぜひ。

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高森 郁哉

4.0裸の心に向き合う恥ずかしさ

2024年9月23日
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鑑賞方法:TV地上波

奥さんが亡くなられた時の不貞行為に向き合い、奥さんへの気持ちに素直に向き合うのは難しい。
飾りのない素直な心をさらけるのには、時間がかかるのね…

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jiemom

5.0行間に隠された言葉では紡ぎきれないもの

2024年5月24日
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鑑賞方法:VOD

難しい

2016年公開の作品。
今回この作品を選択したのは、少し前のものだったことで、今の作品との違いを探りたいと思ったから。
この当時にもタイトル名と作品に登場する「もの」が同じという型があった。
サチオという人物は、一般的ではないのだろうか?
冒頭、妻に髪を切ってもらいながら妻への愚痴をまくしたてている様を、画面越しに見れば引いてしまいがちだが、そのような妻との些細な言い合いは日常的に誰にでもあるだろう。
第三者的視点に立ってしまえば、この作品はどこか別の世界の話に感じるだろう。
サチオは、事故説明会の会場でまくし立てた同級生大宮ヨウイチとは対照的に、どこか冷徹で他人事のようにしている。
有名人の妻の事故死ということも重なり、マスコミはサチオにインタビューするが、その回答はTVのコメンテーターのようだ。
大宮は誰も頼る人がいない。そして同級生のサチオに電話する。彼からの電話を掛け直す気になったサチオの心境がこの作品の大きな転換期である。
しかし、その事については深く描かれていない。物語としては非常に重要な部分だ。ここだけは視聴者に委ねることはできないし、ご都合主義的と捉えかねない箇所だった。
さて、
自分とは対照的な大宮家の生活。子供の世話と妹アカネの面倒を見る小学6年生のシンペイ。彼の子供らしからぬ言動に興味を持ったことで、長距離トラック運転手のヨウイチが帰らない日には、「僕が週2日ここに通うよ」といったことで、大宮家の生活を支えるようになる。
大宮家はサチオとはすべてが対照的だった。このことがサチオが一番気になった部分だろう。
編集者のキシモトには「次回作の取材」を言い訳にしていたが、それは後付けの理由だ。
大宮家で感じた一番大きなものが、妻、母の死に対する「悲しみ」
どうしても自分には感じられないその感情の正体を知りたかったのが、大宮家に通う一番の理由だろう。
子供の面倒や家事などにも慣れてきたが、母のいない子供たちは、言葉に出さないけど思いのほかストレスを抱えていることを感じ取る。
特に感情を言葉にしないシンペイは、疲れ切って泣いてしまったことを父には絶対言わないでという。
彼らと一緒に海に出かけると、ぼんやり見えてきた妻の幻。
そんな大宮家と一緒にいるうちに、オファーを断り続けていたTV番組の取材を受けいる気になった。
収録の前日、妻のスマホに入っていた送信されなかったメール「もう愛してない。ひとかけらも」 怒りに任せてスマホをたたき割る。
TV収録で感情が爆発してしまうが、それがかえって良かった。
TV放映は良かったものの、「忘れる」ことについて、サチオとヨウイチの意見が対立する。
この忘れるという概念は、特に東日本大震災でよく使われていた。どこのTVもこぞって「忘れない」などと放映していたが、私自身この「忘れない」という言葉に違和感をぬぐえないところがある。その考え方は、少なくとも、「押し付けられるものではない」と思うのだ。
それは各々に委ねられるものであり、各々が処理すればいいことだと思う。
そして、
従来の考え方は急には変えられないように、サチオもまた、自論をひとつひとつ確認しながら自分自身の方向性を新しくアップデートしようとしていることに気づき始めているのだ。
ヨウイチもまたサチオと話しながら、自分自身の偏った自論をアップデートし始めた。
毎日欠かさず留守電に残された妻の声を聴いていたが、とうとうある日、メッセージを削除した。
私も亡くなった母からのメールを削除できないでいたが、10年ほど前のある日にとうとうそれを削除した思い出がよみがえってきた。
皆で遊びに出かけた科学館の先生との出会いと親しくなったこと、中学生になるシンペイ、そして事実上不要になった大宮家でのサチオの「仕事」
すべては少しずつ変化してゆく。
そのタイミングが重なったとき、サチオの抱えていた、抑え込んでいた「何か」が出現する。
「疎外感」
否めない事実。
サチオは子供がいるというリスクについての持論を展開する。
それは誰が聞いても気持ちいものではなく、言葉が過ぎていた。
酔ったからこそ出た彼の「地」が出た。
サチオが話した子供を作らなかった理由に、ヨウイチが嚙みつく。「なっちゃんは、そうは思っていなかったはずだ」
それに対しサチオは「頼むから自分の幸せの尺度だけでものを言うな。夏子は僕の子供なんか欲しくなかったまま、死んだ。以上!」と言い捨てて帰る。
追いかけてきたヨウイチに「僕は、夏子が死んだとき、冷たい湖でおぼれていた時、妻のベッドで女とヤリまくっていたいたの! 君とは全然違うの」
それからしばらく大宮家には行かず、従来の生活を楽しんだ。
しかし、どれだけ遊んでも酔いつぶれても、苦悩が止むことはなく、どうしてこんなに苦しいのか自分自身わからない。
大宮家ではシンペイが「疲れ」父と喧嘩する。「僕はお父さんみたいになりたくない」
ずっと我慢してきた心の叫びを父にぶつけてしまう。
そのまま仕事に出かけたヨウイチは、事故を起こす。
病院はヨウイチの連絡先からサチオに連絡する。サチオは大急ぎで出かけた。
シンペイの告白「お父さんに悪いことを言った」
サチオ「生きてりゃ、いろいろ思うよ、みんな。でも、自分を大事に思っている人を見くびってはならない。見下してもいけない。そんなことすると、愛していいはずの人が誰もいなくなってしまう。僕みたいになる」
思うに、
サチオは大宮家の人と話しながら、ブレインストーミングしていたのだろうと思った。彼らに起きた出来事とそれを俯瞰できる立場にいること。そして子供たちの純粋な心に触れながら、ゆっくりと従来の自論をアップデートしてきたのだろう。誰でも起きた出来事や「何か」に対する心の抵抗がある。その根源にあるのが「思い込み」だったり、「罪悪感」だったりする。
起きてしまった事故によって、その家族に寄り添うことによって、サチオには見えてきたものがあった。
トラックに一緒に乗って帰るシンペイと、反対方向へと歩き出したサチオ。ひとつの縁が始まって、そうしてやってきた、別れのタイミングだ。
汽車のなかでサチオが書いた「人生は他者だ」
この言葉の持つ意味は深い。そして多義的だ。
人生は他者がいるからこそ成り立つとも解せるし、他者によって自分の人生が示されるとも解せるし、自分の迷いを他者を見ることで学べるとも解せるし、もっとあるだろう。
とにかくサチオは学んだのだ。
そして新しく出版した小説「永い言い訳」
妻のスマホを叩き割ったのは、彼女の言葉に怒った理由とは、それは、サチオ自身が妻をひとかけらも愛していなかったことへの裏返しだった。妻に先を取られた悔しさ、怒り。
パーティ会場でサチオはアカネから写真を一枚もらった。
そこには大宮家と一緒に笑顔いっぱいで写る妻がいた。
脳裏をかすめるヨウイチの言葉「なっちゃんは、そうは思っていなかったはずだ」
その自分がいない写真をフォトスタンドに入れて飾った。
妻の本心が写った写真。大宮家のような家族が欲しかった妻の本心が写った写真。
彼女がずっと使ってきたハサミ、あの日最後に使ったハサミについた自分の髪の毛。
そして、ようやくしまうことのできた妻の遺品。
そしてサチオは20年間妻を愛さなかった言い訳を、永い時間をかけて詫びることができたのだろう。
2016年の作品だったが、よかった。
私も妄想しながら泣けた。
私自身ブレインストーミングできたように思う。
行間が深く、難しかったがいい作品だった。

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R41

4.5大切な人を、大切だと認識して

2024年5月11日
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いられる時間は永遠ではないし、当然にある存在ではない…
奥さんを大切にできてるか…この映画でハッとした男性は多いのでは。
もっくんはもちろん
竹原ピストルの、いまにも、もっくんに殴りかかるのではという迫力
少ない登場シーンで、生前の人柄まで感じさせる、、透明感抜群の、深津絵里 雑誌の表紙に使われた写真の凛とした感じ、すごい そして、多忙で、かつ、夫婦で旅行して写真とって、なんてことがなかったから、雑誌の写真を遺影に使うしかなかったのか…

ラストの サチオ君の新作出版記念のパーティー
サチオ君と目が合ったピストルさんが見せた笑顔、最高。

永い言い訳には、どこまで、サチオ君のクズ男ぶりを描いたのか、気になるラストだった…

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トッキー

4.0人生は、他者だ

2024年1月7日
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鑑賞方法:VOD

西川監督の作品はどれも好き。
ゆっくり物語が進んでいく感じが肌に合う。
役者の表情や感情表現が刺さる。
キャスティングも完璧。

今作もクズの夫役として本木雅弘がドンピシャ。
子どもたちとの触れ合いを通して徐々に変わっていく様も素晴らしい。
家族以上に家族してた。

一番印象深かったのは電車のシーンの台詞。
「大丈夫だよ、しんちゃん。
生きてりゃいろいろ思うよ、みんな。
でもね、自分を大事に思ってくれる人を、簡単に手放しちゃいけない。
みくびったり、貶めちゃいけない。
そうしないと、僕みたいになる。
僕みたいに、愛していいはずの人が誰もいない人生になる。
簡単に離れるわけないと思ってても、離れる時は一瞬だ。
そうでしょ。
だから、ちゃんと大事に握ってて。
君らは、絶対」

タイトルの「永い言い訳」は誰に対しての言い訳なんだろう。
幸せにできなかった妻に対してなのか。
妻を思う妻の友人に対してなのか。
自分を持ち上げてくれるまわりの人たちに対してなのか。
慕ってくれる子ども達に対してなのか。
妻が死んでも泣くことができない自分に対してなのか。
答えはきっと…

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JBはただの映画好き。

4.5生身の人間の真実の姿を、リアリティ持って描く西川美和

2023年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

2006年作品。原作・脚本・監督・西川美和。
「人間失格」を書いた太宰治、
「堕落論」を書いた坂口安吾、
妻を交換しあった谷崎潤一郎と佐藤春雄。
作家(文子)の端くれで文化人である本木雅弘の演じる津村啓。
その津村にも作家のDNAは脈々と流れ受け継がれている。
津村の本名は鉄人・衣笠祥雄と同姓同名で妻・夏子(深津絵里)から、
サチオ君と呼ばれている。
その呼び名に子供じみたイチャモンをつける津村。

本木雅弘がよく引き受けたと思うほど、サチオは最低の男である。

冒頭の妻との会話。
あまりの難癖の付けように、
妻とはこれほど人間性を否定されても、夫に我慢して尽くすものか?
唖然とする。
(後半明かされる夏子の衝撃的なスマホへの書き込み。本音。)
愛人(黒木華)と妻のベッドで睦み合う津村。
その最中に留守電が鳴る。
「妻の交通事故」を知らせる山梨県警からのメッセージ。

そして山梨県で荼毘にする津村。
そして事故で一緒に亡くなった夏子の親友・大宮ゆきの夫・大宮陽一
(竹原ピストル)から、泣いてる留守電を受ける。
そして電話を掛けて会う決断をする津村。
その後の行動は屑男を返上する美談なのだ。
大宮の電車一本で着くというマンションに週二回通うサチオ君。
大宮の息子の真兵の中学受験のサポートだ。
息子(藤田健心)は小6。
灯(あかり=天才子役の白鳥玉季)は来春・小1になる年齢。
そして子供のいない津田は、真兵と灯とのシーンは、
擬似親子のままごと的で心暖まる。
(西川美和が話していたが、未婚の西川が叔母の立場になり甥とか姪を
持った事が本作に色濃く投影した・・・と、)
津村の編集者の岸本(池松壮亮)は、子供たちの世話をすることで
癒される津村に、
「逃避ですか?」
「子供は免罪符」と自分の幼い子らの待ち受け写真を見せる。
そうなのだ。
津村は子供・・・子供のない夫婦の夫は幼稚である・・・
などと書くと差別発言と叱られるが、
子を持つことは「忍耐を学ぶこと」
結婚することも同じく「他者」を受け入れて自分の一部として
認める寛容を必要とする。

前置きが長くなったが、妻を突然亡くした2人の男。
一人は不倫中で“妻の死を本心から悲しまず、泣けない男“津村。
と、泣き崩れ悲しみに押しつぶされる親友の夫・大宮(竹原ピストル)

西川美和の人間描写が凄まじい。
会話の妙。
津村と真兵と灯そして陽一の睦まじい日々に喜びを感じる津村。
そこに割り込んでくる幼稚園教師の優子(山田真歩)
あんなに泣いて、苦しんだ陽一が、
「今泣いたカラスがもう笑った」みたいに優子との再婚もアリ・・・
みたいに立ち直りつつある。
そこに自分を除け者にされたと感じる津村の子供じみた嫉妬。
(会話を100%書き写したくなるけれど、そこは自重します)
《人間が描けている=心の機微が痛いほど迫ってくる》
竹原ピストルが実に上手い。
儲け役かもしれない・・・けれど長距離バスの運転手・・・
その仕事をする男の妻を亡くした悲しみを、ここまで生身の同情出来る男
として演じる竹原ピストルは凄い(歌手としても、好きです、特に歌詞がいい)
そして3子の父親でありながらその事実を微塵も感じさせることなく、
欠陥人間、文化人の嫌らしさ、不幸も書いて出版して飯の種にする・・・
作家の性(さが)。
本木雅弘のリアリティある演技も凄い。
「おくりびと」(2008年が実に良かった)
仕事を選ぶし、働かない(義母樹木希林の言葉)本木雅弘が、
久しぶりに演じたいと感じた役は屑男の再生・・・だった。
子供たち(福田健心と白鳥玉季)が実にイキイキして可愛い。
格好いい津村と父親を比べて、父親(竹原ピストル)が劣って感じ、
なじる真兵・・・
それもこれも人の心・・・
竹原ピストルが妻(堀内敬子)からのバス中から残した最後の留守電。
繰り返し聞いていたそれを消去するシーン。
(凄すぎるシーンだ)

2017年キネマ旬報ベスト・テンの第5位。
キネマ旬報・助演男優賞(竹原ピストル)
毎日映画コンクール・男優主演賞(本木雅弘)
原作「永い言い訳」は山本周五郎賞を受賞。
直木賞の候補作にも選ばれた。
大人の観る日本映画の傑作・・・
「ゆれる」と共にまたしても西川美和には、驚かされる。

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琥珀糖

3.0子役の2人が素晴らしい。

2022年11月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ナルシストで性格の悪そうな小説家の役を本木雅弘が好演。子役の2人の自然な演技が素晴らしい。特に妹役の子の演技は実に自然。最初の数分しか出番のない深津絵里の存在感が大きい。改めて彼女は実に存在感と透明感のある女優だと思う。尤も、ストーリーは正直余り引き込まれるものではないし、無駄に長い映画であるとは思う。

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Yohi

5.0それでもみんな生きていく

2022年9月28日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

ここ何年かで一番涙が出た作品でした。
おそらく、心情的に共感するところが多いからかな。

本木雅弘さんをこんなに身近に感じたのは初めてです。
ダメ男イケメンの衣笠幸夫が、ほんの少し変化していく希望の物語り。
浮気相手とお葬式の後に愛のないセックスをするシーンは本当に気分が悪かったけど…

そして、竹原ピストルさんが対照的に純粋で一生懸命な夫を秀逸に演じていて心が洗われました。
長く生きていると、完璧な人間などいないと本当に思う。
でも、西川美和監督は人間の性善説を信じているのだと思う。
いつも心の中に小さな灯を残してくれてありがとうございますと言いたい。

とても感動したので、レビューを書くのにちゃんと頭を整理してから…と思って時間を置いていたら、
そのまま時間が過ぎ、細かい部分を忘れてしまうという低堕落。
でも、書きているうちにさまざまなシーンを思い出しました。

永い言い訳
というタイトルも好き

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サマースノー

5.0向き合うことは難しい

2022年8月22日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

幸せ

大事に思ってくれる人を捨ててはいけないという言葉が刺さりました。人生色んなことから逃げたくなって向き合わずに生きてしまってる自分からしたら幸夫の行動は理解出来てしまいました。人の子供との生活を通して目の前のことを大切にしようと勝手になっていく、そこから自分のことを見つめ直し、過去は過去、これからはこれからと割りきって生きようとする様子が素敵でした。人には言えるけど自分のことはなかなか難しい。
心のよりどころというのは幸夫くんにとっては3人との生活であり、そこも過去として別の道を歩むんだなーと、ラストシーンはちょっと驚き。
妻からのもう愛していないというメッセージとその流れが僕にはちょっと分からなかったので知りたいですね。後、山田真保さんの吃音も分からなかった。
本木雅弘さんの演技はあまり見たことないのですが、天然ぽいコミカルさとお姉感がはまってました。後子供のことで嫉妬する様かわいい。なんか稲垣吾郎ぽかった。そして何より子供二人が素晴らしい。あかりちゃんのかわいらしさ半端ない。森川葵ちゃんの子供の頃はこんな顔じゃないかなという雰囲気でした。しんぺい君はイケメン過ぎる。父にちゃんと向き合えて、大事に出来て良かった。今後の活躍に期待です。

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パセリ

4.0人は何に救われるんだろうか…

2022年8月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

自堕落と無知、努力と才能、後悔と反省…
本木雅弘、好演でした。
竹原ピストル、とてもいい味出てました。

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tuna

4.0不倫のさなか、事故で妻を失った男。同じ事故で運命を共にした妻の親友...

2022年4月5日
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鑑賞方法:TV地上波

不倫のさなか、事故で妻を失った男。同じ事故で運命を共にした妻の親友の家族との交流。
深津絵里がたったこれだけ?黒木華もっとそれだけ?竹原ピストルズ、ハマり役ですね。子役たちが良い。特に可愛くない少女を好演する子役(笑)もちろん主演本木雅弘も良かった(同じ歳です 笑)
なかなか考えさせられる、ぐっとのめり込んでしまう作品だった。
「自分を大事に思ってくれる人を簡単に手放しちゃいけない」
J:COM

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はむひろみ

4.5目まぐるしい展開 西川美和ワールド

2022年3月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

幸せ

原作脚本監督という、西川美和ワールドに引き込まれました。

主役の津村啓(本木雅弘)の、多面的な言動に、心動かされた。
不倫中に妻が事故死という、そこからの展開は、打算的だったのか?
本心で大宮陽一家(竹原ピストル)を助けるためなのか?
出版パーティのシーンから、僕は後者だったと言い切りたい。

人生の成功とは? あるべき夫婦、家族の姿とは?
深いテーマを多角的な切り口で表現している、また他の作品も観てみたい。

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かずじー

3.5人生は他者への….

2022年3月15日
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#本木雅弘 万能俳優! #深津絵里 もっと見たかった! #竹原ピストル 演技も泥臭くて良い! #黒木華 不倫相手役とは意外な感じだけどリアル!

ある意味、衝撃的な内容。

女性のなかには『許せない!』って思う人もいるかもしれません笑
冒頭からモッくん演じる主人公の不倫。しかも妻が事故で亡くなったその時に。

本人も自分の己心の魔と向き合い、戸惑う。

男女のリアル。人間のリアル。を綺麗事抜きに描いてる。

夫婦とは。親子とは。家族とは。
を考えさせられる映画でした。

夫の目線と妻の目線。

親の目線と子の目線。

お互いの目線が違うからぶつかる。

ぶつかりながら互いに成長していく。理解し合いながら。

失ってから当たり前が当たり前じゃないと気づく。

今という時間が実はかけがえのないものなんだと。

もっと他人に喜びを与えたり、お世話になった人に恩返しができたら良かったって思う。

この映画を見て、もっと妻や子供を大切にしたいと思いました。
ありがとう。

最高!

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もふもふ

3.0回り道

2022年2月28日
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自分の感情に、整合性を付けるために否定的な感情を出してた感じがした。嫌われてると思うことによって逃げ道を作った感じかな

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ふらんすぱん

4.0その「永い言い訳」は、誰に対しての言い訳か。

2022年2月20日
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大切な人を失った時の感情を、どうやって言葉で表せば良いのか?
そんなことはできるはずがない。のだ。

なまじっか、言葉の世界で生きてきた幸夫は、
(おそらく)感情を言葉に変換するクセがついているので
妻を失った喪失感を自分でも分からない。
なので涙が出ない。
いや、俺は確かにダメな男でダメな夫だ。
でも、妻を愛してなかったわけじゃない。
ちょっと待ってくれ、言い訳させてくれ。
その永い言い訳に要した時間が、奇妙な4人生活の1年間。

対する陽一君は、言葉で表すのが苦手なので、
感情がストレートな行動に表れる。
まだ幼いあかりちゃんは、純粋なので感情で表現する。
一方、長男の真平君は、幸夫に似て言葉が先に出るタイプ。
しかし、それは父陽一に対する反抗でもある。
科学の先生は感情を表に出すのも言葉にするのも苦手なタイプ。

その永い言い訳の途中で強烈な一言を目にする。
「もう愛してない これっぽっちも」
まだオレの言い訳の途中なんだから、先に答えだすなよ!
ここで幸夫の感情は切れてしまう。
陽一君が事故を起こすまでは。

この映画に出る人で、
愛されていない人は誰もいない。
あ、一人だけいた。不倫相手の編集者。
「もう愛してない これっぽっちも」は未送信。
職業とはいえ愛していない人の髪を切るわけがない。
しかも何年にも渡って。
「わたしは衣笠っていう苗字が好きだし」なんて言わない。
もちろん不倫には気づいている。だから未送信。

ラスト前、やっと永い言い訳を言い終わったあと
あかりちゃんにもらった写真に、自分は映っていない。
そこで初めて涙する。

冒頭の妻のセリフ
「悪いけど、後片付けはよろしくね。」
ラスト
1年かけてようやく幸夫は“後片付け”をし、前向きに生きていきます。

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にゃろめ

1.0どこにも魅力を感じない。

2021年11月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

どこにも魅力を感じない。

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くそさいと