「ニンニク臭い息!いや、トラック運転手ならCO2くらいは知ってるだろうに・・・」永い言い訳 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ニンニク臭い息!いや、トラック運転手ならCO2くらいは知ってるだろうに・・・
妻を亡くしたとき、いったい何を失ったのだろうかと茫然自失となる小説家・津村啓こと衣笠幸夫。鉄人衣笠と奇しくも同じ名前だった幸夫くん。妻には結婚して以来ずっと髪を切ってもらっていたことが、他人に言える唯一の愛情。曲がりなりにも小説家なのだから、人を感動させる術を知っているところが哀しい。
そんな時、トラック運転手・大宮陽一(竹原)と知り合う。同じ遺族で亡妻が親友同士。彼には遺された中学受験を控える真平と幼い灯がいたが、彼らの面倒を見ることで、自分自身と家族というものを見つめなおすチャンスを得た幸夫。食事だけのつもりだったが灯のアナフィラキシーショックが彼を衝き動かしたのだろうか、家庭のことを顧みることのできない父親と対比させようとしたのだろうか、とにかく幸夫にも父性があることを確認したかったに違いない。
冷え切った夫婦関係ではあったが、そこからはドキュメンタリーに出演したり、小説を書いたりして、自己を見つめなおすきっかけとなり、愛はあったのだろうかと、自分と亡妻とのことを書き連ねたのだろう。“長い”じゃなくて“永い”という形容詞には妻を弔う気持ちも含まれている気もするし、忘れたいという想いよりも永遠の贖罪の念を込められているのかもしれません。
やっぱり「守る者がある」ことの幸福感。純朴な男だけれど、「自分が死ねばよかった」という点だけは幸夫の言い分が勝っていた。生きることの尊さは、むしろ灯ちゃんの方が知ってたぞ!といったシーンもあった。お互いに欠けてる部分を補うべきところもあり、幸夫と陽一の関係は生涯親友として育まれるだろうなぁ~と、そっちの関係も爽やかだった。
どうでもいいことですが、本木雅弘が貴乃花親方に見えてしょうがなかった。ドスコイ!