「一風変わったコメディ映画」クリーピー 偽りの隣人 イヌガミーさんの映画レビュー(感想・評価)
一風変わったコメディ映画
よいところ:
・犬が可愛い。
・セリフが聞き取りやすい。
・説明が多く内容を理解しやすい。
・一周回って笑える。
・「今っぽい邦画」を見たければこれを見ればいいと思う。
悪いところ:
・登場人物の行動がいちいち「そうはならんやろ」となるくらいに唐突、意味不明。感情移入はまったくできない。
・セリフを聞き取りやすくするために間が多くなり、テンポが悪い(遅い)。普通人はそこまで他人が喋り終わるまで黙って話を聞かずにちょっと被ったりする。芝居かかって見える。
・ご都合展開すぎる。まず今日理由でもなければご近所付き合いなどあまりしないし、隣人がたまたま調査していた殺人・失踪事件の犯人であることに対する必然性の有無などの視聴途中に発生してくるモヤモヤに対する説明が一切なし。
・犬を自分の管理不注意で逃しておいて飼い主がヘラヘラしている。
普段あまり邦画を見ず、人からお勧めされて動画配信サービスで見ました。そして気付きました、これはコメディ映画だということに。
「この展開にはならんやろ」という展開の連続。どう見ても不審者な喋り方しかしない隣人に何故か関わり合いになり続ける主人公夫妻。仕事としてやったとしても強引すぎる捜査を試み被害者(参考人)を追い詰める主人公たち。急にメンヘラになる主人公の妻。そしてほとんど面識のない、しかも一度最悪な対応をした隣人に対して「あの人、お父さんじゃありません」とか深刻なことを打ち明けてしまう高校生。(「あの人」の味方だったらどうするつもりだったのだろう)。キャッチコピーにもなっているこのセリフを聞いた時に、ようやく気付きました。これはコメディ映画であると。
そう、この映画は奇想天外な展開に対して客観的な目線で「いやそうはならんやろ」とツッコミを入れて楽しむコメディ映画なのです。
そう考えなおし、最後まで視聴することができました。最後に犯人が拳銃で撃たれまくっているところなんか爆笑してしまいました。そしてエンドロールで「この映画はいったいなんなんだ…」と思いました。
また、たまに「今の邦画はダメだ」という論調で扱われているときのテンプレートのようなものに忠実に沿った作りをしていると思いました。特にラスト付近で顕著です。「妻よ、今まで俺はお前の気持ちを考えていなかった」と反省する主人公。自分は手を汚さずに(どのような方法で?)人に犯罪行為を行わせる頭脳派の犯人。犯人を糾弾し追い詰める主人公。そこで一段落とし主人公を危機に陥らせる。そしてラスト、ふんぞり返っている犯人に主人公が裁きの鉄槌を下してハッピーエンド。このような感情の動きに忠実な流れをしていて、そこはとても参考になりました。しかし、感情の動きには忠実なのですが、ストーリー上の説得力やキャラクター性についてはガバガバだと思います。
結論。勧めてもらった人には申し訳ないですが、私には合いませんでした。