「サイコパスは既に市民権を得ていて、理解の範疇。問題はそこじゃない。」クリーピー 偽りの隣人 オオカミと鯖寿司さんの映画レビュー(感想・評価)
サイコパスは既に市民権を得ていて、理解の範疇。問題はそこじゃない。
この映画は香川照之のサイコパスが怖い映画…
ではないと思います。
この映画全部が気味悪くて、気持ち悪っ!と思わせるための映画と言ってもいいと思います。
そんな事をこのキャストを使って行う点が、私は大好きです。
ただ、正面から真面目に観ちゃった方はつまらないと思います…。
豪華なキャストを起用して大々的に映画にすると、どうしても映画のストーリーそのままを捉えてしまう方が沢山出てきてしまうのは仕方ないのですが…。
監督が少し遊び心を持って、気持ち悪いだろ?てニヤついて作ったと思って見てみると、かなり面白い映画だと思います。
「ファニーゲーム」に似たものも感じました。
「ファニーゲーム」も観た人の中には主人公達の無能さや理不尽さや辻褄の合わない内容にイラつく人もいる様ですし…(まだファニーゲームの方があからさまなので、殆どの人が真意に気付くと思いますが…)
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「いやーあんま面白くなさそうだなー。」と思い、ずっと先延ばしにしていたのをレンタルしてダラダラ鑑賞。
のつもりが…
何ですかコレ…すんごい良かったです!
普段殆どゾッとしないのに久々にゾッとしましたよ。
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香川照之の不気味さは、実はそこまで不気味でなくて。
勿論不気味なのですが、そこがポイント、もしくは本質の映画ではないと感じました。
なぜなら、現代を生きる私達にとって、サイコパスだとか、理解できない殺人鬼なんてのは結構身近になりつつあるからです。
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映画や漫画や小説にもよく出てくるし、現実の事件でもたまに耳にします。
そのため、私達にも耐性が出来ていて、かつ結構見分けがつく様になってきている気がします。
(サイコパス診断なんてのも有名ですし…笑)
犯罪学や心理学、科学的にも説明付がされ、解説され、理解されてきており、市民権(笑)を得てきています。
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この映画のクリーピー(不気味さ)は、香川照之の裏で隠れた一般人の不気味さや状況や環境、更にはカメラの撮り方が本当の不気味さです。
最初からラストまで所狭しと散りばめられた色々な登場人物の不気味さ。
出てくる人の殆どが不気味です。
それは、現代を生きる私達にはまだ公には解説(心理学や科学などで)がされていない不気味さです。
(例えば過去の事件を趣味で知りたいと話し、面白いと平然と話す主人公や、手作りのチョコをご近所さん挨拶時に渡す妻、知らない人と生活する子供etc...)
(もっと言うと、引っ越してきた時から新居の撮り方が気持ち悪かったり、キャンパスでバッチシのタイミングでカメラを見てくる学生、何でここでこのセット?etc…)
普段気付かない様な箇所でも、なんか気味が悪いと思わせる事に関して、かなり手の込んだ事をしています。
現代を生きる私達が人が本当に不気味だと感じるのは、サイコパス等のジャンル分けが出来るものではないのだと、身を以て感じました。
※ただ、最後の方の車のシーンは監督のセルフパロディ的な要素以外にどんな理由があったかは分からないです笑
(明らかに何らかの狙いがありそうですが)