「黒沢清の独壇場!」クリーピー 偽りの隣人 モトヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
黒沢清の独壇場!
ほとんど飽きることもなく最後まで一気に観ました。
後から考えると展開の強引さは、ここで投稿されている多くの方が指摘しているようにあるとは思いますが、何故か気になりませんでした。
近代以降世界を支配するのが金融資本主義。
お金がないと生きていけない、お金が労働の対価となるが、お金は投資することで資本となり資本に働かせる者と、資本のために働く者に区別される。
資本家も実は借り入れ(金融)によって成り立っている。借り入れには担保が必要で、担保の代表的なものが収益計画と不動産です。
金融資本主義は不動産と密接に絡んだ社会経済を作っているわけですが、持つものも持たざる者もどちらにしろ金融の意思に支配されることになる。
サイコパスという大量殺人犯は近現代に登場したと映画の中で語られている。
金融資本主義から生まれたと言ってもいいだろう。
人間は金融の意思に支配されていて、それから逃れることは、自給自足の生活をしても完全には無理だろう。
共同体との関係性を失った人は、欲望のままに生きると金融の意思と同化する。
人は物であり数値であるかのように。
黒沢清の映画を観るといつも思う。現代の人間は金融資本主義という絶望的な世界を生きていることを。
不動産王のトランプに金融資本主義の破たんの夢を担わせるという理解不能な狂気が今の世界のリアルなのだろう。
そんなことを考えると、こんな重いことを背負えるなんて、、黒沢清の独壇場だと思います。
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