劇場公開日 2016年6月18日

  • 予告編を見る

「ありえない、でも恐ろしい、いや面白い」クリーピー 偽りの隣人 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ありえない、でも恐ろしい、いや面白い

2016年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

いろいろと突っ込みたくなることや、都合良すぎるだろと言いたくなることも多々ありはしましたが、それでもついつい見入ってしまうような魅力溢れる作品に仕上がっていたと思いました。
まあこのキャストですからね、つまらなくなる訳もない、ちょっとマンネリなメンバーだなとは思いつつも、終わってみればやはりさすがだなと思わされた実力派達でした。
それより何より、黒沢清監督の演出力ですよ、近作はいまいち自分にはフィットしない作品も多かったのですが、今回は久々にフィット、最初からずっと居心地の悪さを感じつつ、ジワジワ押し寄せてくる違和感の連続には、ゾクゾクッとさせられましたよ。

ゾクゾクと言えば香川照之、単純に隣人の香川照之の奇行を見ているだけでも面白い、いや恐ろしい作品でしたよね。
ベタではありましたが、ナイスキャスティング、おかげで130分間飽きることなく楽しむことが出来ました。
隣人付き合いは我々の日常に直結する出来事、隣人付き合いしないとしても多少は気になったりする訳で、そう言った意味でもいろいろと考えさせられる作品でした、もし引越し先で隣人が香川照之だったらどうしましょ・・・。

また直接隣人として関わる竹内結子が演じた高倉の奥さんの行動にもイライラさせられるんですよね、行かなきゃいいのに、関わらなければいいのにって、でも、そうもいかないのが隣人心理なのでしょうか。
ただ、彼女の心理面の変化がちょっと最後まで分かり難かったのは難点でしたかね、全体的に変に説明しない作風だったのは私的には良かったと思いましたが、さすがにここはちょっと分かり難かった、でもいろいろと想像する楽しみもあった作品ではありましたけどね。
川口春奈が演じたキャラもそう、何の説明もなかったけど、もしかしてあの子もアレされたのかとか、後でいろいろ考えるとゾクッとします。

しかしあの注射は一体何だったのでしょうか、便利すぎて、都合良すぎてちょっと笑った。
東出や笹野の行動も・・・。
それにしても、西野の家が凄すぎた、笑っちゃうぐらい怖い家でしたね。
怖いと言えば娘役の藤野涼子の才能も末恐ろしい、どこまで進化していくのか楽しみですねぇ。
もう少し西島秀俊の犯罪心理学者的な部分も出ていれば尚良い作品だった気はしましたが、どっちもどっちに見えてくる面白さ、恐ろしさもあったりで、突っ込みどころも含めて面白い作品でした。

スペランカー