「現代主婦のリアル」クリーピー 偽りの隣人 lilyさんの映画レビュー(感想・評価)
現代主婦のリアル
香川さんの怪演ばかりに注目が行きがちですが、どちらかというと高倉夫婦間の問題なのではないかと思いました。
明らかに西野さんは初対面で変わった方ですし、ご主人からも「変な人だから関わらない方がいい」と言われた時点で、私なら挨拶以外は一切関わらないと思います(これが私の自由意志)。
それが、西野さんに夕食の残り物をお裾分けしたり、料理を教えて夕食に招いたりして、何不自由のない生活と素敵なご主人を持ちながら康子さんは何らかの空虚感を感じていたのではないかと思います。
だからこそ、「明らかにヤバい人」の餌食になってしまう。「普通」引っかからないよね?っていう人に引っかかってしまう。
私だったらこういうオカシい人に何かされたら抵抗し主人に助けを求めますが、康子さん、最初から最後まで全然抵抗してませんしね。本当に彼女の自由意志なんだと思います。今の生活に必ずしも満足していないからこうなる。
今空虚感を少しでも抱えている人には、誰しも降りかかる可能性があることなんじゃないでしょうか?西野さんがこの手のやり方でずっと家族を侵食してこられたということは、これだけ空虚感を抱えた家族が多いということだと思います。
高倉さんが康子さんを助けに行った時、康子さんの「引っ越したら何かが変わると思って」という言葉に、高倉さんの「君の気持ちを考えていなかった俺が悪かった」というような返しがありますが、私はこの映画はこのやりとりに集約されている気がします。
康子さんがピストルを突きつけらている時「今こっちにくれば俺が全力で君のことを守る」と高倉さんは言います。これは女性が好きな男性に言われたいことです。それを受けて高倉さんの方へいく康子さんは、まだ彼に対してポジティブなんだと思います。
最後の叫びは、康子さんの懺悔の叫びに聞こえました。
この映画をご覧になったご主人方は、ぜひ奥様に「奥様の気持ち」を聞いてみてはいかがでしょうか。
最後に。香川さん、変なオジサンとしては完璧です!