「ハラハラしっぱなし」クリーピー 偽りの隣人 のさんの映画レビュー(感想・評価)
ハラハラしっぱなし
不気味な一家失踪事件を追いかける犯罪心理学者の主人公と、その裏で妻にジリジリと忍び寄る怪しい隣人。
スリリングなストーリーと演出・演技にハラハラさせられたのもさる事ながら、登場人物達の、思わず突っ込みたくなるような危なっかしい行動の数々に、とにかく最初から最後までハラハラしっぱなしだった。
竹内結子演じる主人公の妻は、
いくら引っ越したばかりの知らない土地で、専業主婦で家にひとりきり退屈な日常だからって、怪しいと思った隣人にシチューとか持ってっちゃ、あかん・・・!!!って感じだし、
西島秀俊は、
失踪事件の家の配置と我が家の配置が同じだってことには気付けても、自分の妻が狙われてる可能性には気付かないのね・・・いや、はやく気付けよ!!というところ。
東出くんは、西野のこと調べてくれて免許証の写真とか入手したなら、まずは西島先輩に見せようよ、そして迂闊に家の中へ入っていくなよ・・・からの笹野さんデジャビュ。。
とまぁ突っ込みどころ満載といったらそれまでなのですが、
こういった「いやいやダメダメダメ・・・」というフラグを清々しいくらい回収していってくれるのがホラーであり、心揺さぶるエンタテインメントとして、とても面白かったです。
ところどころで不穏さを煽る音楽も効果的だったし、
色彩を使っての日常から非日常への暗転も、見ていてゾクゾクとするような映像の魅力があった。
研究室で川口春奈に尋問するシーンの、計算されつくされたカメラと役者の動きは、最高にかっこいい。
終盤の、世紀末のような荒廃感は、いかにも黒沢清監督という感じ。
「絶対どこかしらで可哀想な目にあうだろうな〜」と思いながら観ていた犬のマックス君が、最後まで無事で良かった。