マーシュランドのレビュー・感想・評価
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【”フランコ政権の秘密警察の亡霊が蠢くスペイン南部の街で次々に起こる少女連続惨殺事件。”貴方は誰が極悪なる犯人か、分かったかな?】
■1980年、アンダルシア地方の湿地帯の町。
祭りの最中に行方不明となった少女ふたりが変死体で発見され、マドリードから左遷された若いペドロと経験豊かなフアンの刑事コンビが捜査を担当する。
だがヘロイン売買や少女売春など町にはびこる“悪意”が彼らの行く手を阻み、またひとり少女が姿を消す。
◆感想
・不穏なムードが今作のミステリー性を高めているし、序盤に映し出される少女の惨殺死体には、正直目を逸らしたくなる。
・ペドロとフアンが捜査を進める中で明らかになった事。それは、この田舎町に巣くう”極悪”の存在である。
ー 少女たちが”早く、この街を出たい”と訴える姿。-
・最後まで、今作の”極悪”はハッキリとは描かれない。企業家コラレスの可能性もあるし、惨殺された少女されたと同じ写真に写っている色男”キニ”の可能性もある。
<フアンが必死に犯人を追う姿と対比して、ペドロの落ち着き払った姿。そして、彼は血尿を出している。
ラスト近くにペドロに協力していた記者が示す、若き日のペドロの姿。彼は、フランコ政権の秘密警察の一員で、多くの民を拷問し虐殺していた。
これは、私の勝手な意見だが、コラレスもキニも超極悪なるペドロの掌の中で踊っていただけではないのか・・、と思ってしまった作品である。
気になる方は、一度今作をご覧いただきたいモノである。>
冒頭の湿地帯を俯瞰する映像がまるで人間の脳や血管のよう
【演技・演出・物語が秀逸。派手さはないのに見入ってしまいます】
・2014年製作のスペインのスリラー映画です。首都から左遷された刑事ペドロと、左遷先の町のベテラン刑事フアンのコンビが、強○されて殺害された2人の少女の事件を追う、という大枠ストーリー。
・「マーシュランド」の意味は、「湿地帯」という意味だそうです。
[お薦めのポイント]
1.深みのある演技
2.クリムゾンリバーやセブンのような重厚な雰囲気
3.目立つアクションが無くても見入ってしまう物語・演出
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[物語]
・大きなアクションシーンがあるわけでもないのに、じーっと観続けられる素敵な作品だと思いました。
・色々と考えさせられてしまうラストシーン、これもすごいです。このラストは、もやるかたも多いかと思います。自分もその一人でしたが、これぞ、じめっとした「湿地帯」ならではの感じなのだろう、とタイトルが自己解決してくれます。笑
[演出]
・全体的に淡々と謎解きと刑事たちの人間模様を描いていて、雰囲気は「クリムゾンリバー」そのもの。相当前に観たはずの映画なのに、ふっと「あ、クリムゾンリバーだ」と思う出してしまうほど、雰囲気が似てます。他にも「セブン」ぽさも感じました。
・派手な演出で目を引いてラストまで持っていく手法ではなく、あくまでも「謎」と「人間模様」に主軸を置いて飽きさせない演出は圧巻です。
[映像]
・オールドフィルムのような色調や質感が、物語・演出にぴったりとハマっていて、より映画にのめりこませてくれます。
[音楽]
・主張しないであくまでも裏方に徹するようなBGM。音楽を強めに利用して共感性を高めるようなこともしておらず、あくまでも世界観を創る裏方に徹している感じが好きです。
[演技・配役]
・ペドロ役の「ラウール・アレバロ」さん、フアン役の「ハビエル・グティエレス」さん、どちらも知りませんでしたが、ぴったりとハマっている役者さん。
・ペドロ刑事は、強い正義感がありつつも若手刑事とは異なるが故の「葛藤」の様がとても良く伝わります。経験によって覚えてきた「大人の事情に対する行動」は、まさにペドロ刑事の年齢にピッタリな葛藤だと思いました。一方、フアン刑事は、さらにその上をゆく、その世界の「ドン」のような雰囲気を全体を通してしっかりと魅せてくれます。途中で流す涙から過去の出来事は、人前でみせる感情とは裏にある別人格を匂わせます。しかし、それは決して作中で観ることのできない姿。こういう想像をさせてくれる演技が抜群ではないでしょうか。
[全体]
・物語の流れ、重厚な雰囲気のある演出、サスペンス要素とスリラー要素が入り混じった見事な作品だと思いました。なんとなしに観た映画でここまで引き込まれたのは驚きです。
・友人にも勧めたいのと、自分自身、もう一回見て観たくなる一作です。ありがとうございました。
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ラストシーンがいいねえ
悪の根っこ
雰囲気あったのに最後もやっと
・少女連続殺人を追うふたりの刑事
・死体が全裸の傷跡が生々しさがあった
・タイトルの意味する湿地帯のなかを追いかけるクライマックス他、大量のフラミンゴや部屋を飛び回る鳥、部屋の窓から見える花火、高度の上からショットなど風景の映像が凝ってた
・結局事件の全貌が把握できないまま終わってしまった、、日雇い労働者を取り仕切るボスが少女買春をしてたが少女の父親が彼らのシャブを勝手に売りさばいた為代わりに少女が殺された…のか?
・最後まで顔と名前が一致しなかった
スペインサスペンス!
誰もが持つ複数の顔
冒頭の俯瞰カットが湿地だと気付くのに時間が掛かった。人間の細胞と血流に見えたのである。小さな点が明滅して移動するのが見えた時、それが鳥で、初めて湿地を上空から撮影したものだと分かった。この湿地にうごめく陰鬱な人間の情念を表現しようとする監督の意図を深読みしたくなった。
「今日から民主主義国家になりました」と言われて、すぐに宗旨替えをしたものの、細胞レベルまで浸透した既得権益や権威主義思想が、一朝一夕で変わるものではないことは、戦後70年余を経て今もなおその亡霊にしがみつく人間の多さに辟易している我が国の現状を見ても明らかである。
その権化とも言えるベテラン刑事と、新たな時代の象徴である若い刑事のコンビが、事件の真相に迫るにつれ、互いの忌み嫌っていた部分に引き寄せられるように異なる一面を見せる終盤が圧巻であった。
欲望と理性の狭間で、人は様々な表情を見せる。どちらも人間の真実であるが故に、つくづくその罪深さに口を噤んでしまう。
スペインの田舎での
圧倒的普通
「圧倒的評価」だというから、楽しみにしていた。
冒頭、沼沢地帯の空撮画像が抽象画のように美しく、
おお、さすが圧倒的なだけはある、と思った。
が、その後は、
圧倒的普通。
少女が行方不明、
左遷された刑事2人、
うち1人は元はフランコ独裁政権下の秘密警察、
そして少女の惨殺死体発見、
父親が疑われ、
とっぽい兄ちゃんが怪しく、
少女売春がからみ、
麻薬がからみ、
貧困がからみ、
町の大物?がからみ、
……
よくある映画ネタを全部入れようとした結果、
謎も闇も恐怖もすべて半端で、
意外性もない。
おまけに
麦畑の中の農道を走るバイクを乗用車で尾行し、
麦畑の中の一軒家をその乗用車から張り込み
……ってバレバレじゃん。
そういう細部の杜撰さも気になった。
あ、意外性がひとつだけ。
事件がある意味では解決しないことw
回収されてない伏線もあるし、
続編つくるつもりかな。
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