「半永久的な介護ロボットと短命の人間」さようなら(2015) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
半永久的な介護ロボットと短命の人間
クリックして本文を読む
終盤がとても印象的な近未来SF作品。病弱なのになぜヌード?もしかしてターニャは裸族?などと不思議な感覚に陥ってしまいましたが、これも人間の身体が朽ちていく長い時間を表現していることに気づき、同じように時間はかかるけど無機的なロボットでさえも朽ち果ててしまうことを表現していたのでしょう。
このラストはどことなくキューブリック原案・スピルバーグ監督の『A.I.』を想起せずにいられませんでした。百年に一度咲くという竹の赤い花(赤いの?)を目撃せずには死ねないアンドロイドのレオナに心が芽生えたからと推測できる。
社会派要素は原発に限らず、ターニャがアフリカ人でアパルトヘイト廃止によって起こった虐殺だとか、幼児虐待問題だとか、難民問題など多くのテーマが垣間見える。日本人の移住計画はまるで『日本沈没』のアイデアそっくりだったけど、日本人が世界で嫌われていることも示唆していたように感じました。
若いカップルの村上虹郎もいいキャスティングだったし、ターニャの恋人役・新井浩文の優柔不断さも鋭いプロット。事件のことはともかく、いい俳優だ。
なんといっても本物のアンドロイドを使ったという点で斬新だと思うし、二足歩行できないところも現実味があっていい。「レオナ」という名前なんて、手塚治虫の『火の鳥』に登場するレオナから取っているんだろうな・・・想像だけど。
コメントする