団地のレビュー・感想・評価
全13件を表示
H・G・ウェルズも仰天
藤山直美×岸部一徳とくれば誰でも人情喜劇と思うでしょう。冒頭から「五分刈りです」と「ご無沙汰です」の言い間違い、今どきこんな寒いギャグと思いませんか。
コンクリ長屋の人間模様、よくある話をどう落とすのか興味半分、退屈半分。
こんなに驚いたのは「君の名は」の流れ星以来です。まさかSFだったとは・・・・。
宇宙人が虚弱体質なのはH・G・ウェルズの名作で有名ですがまさか漢方薬が妙薬とは・・。実にベタながら微塵も想像できませんでした、石橋蓮司さんのセリフを借りれば「凄い、久々に立派!」。
まんまと一杯食わされたのにこのややこしい爽快感は何でしょう、星4つおまけです。
そんなことはありえないということがありえるのが団地でしょ?
映画「団地」(阪本順治監督)から。
舞台が「団地」であることには間違いないが、
タイトルに「団地」とつけるくらいだから、何かある・・
そんな気持ちで観たからか、団地の定義が面白かった。
「団地っておもろいなぁ。噂のコインロッカーや」
「そんなことはありえないということがありえるのが団地でしょ?」
自宅に住んでいる私にとって、あり得ないことだらけの事件も、
もしかしたら、団地なら起こるかもしれない、と思わせてしまう、
そのイメージが笑える。それも、関西の 団地。(笑)
冒頭BGMとして流れるラジオ番組「浜村淳の『人生はサバイバルだ』」
その中でも「まずは、先週から始まりました
『我慢せんと相談しなはれ』のコーナーです」のフレーズが耳に残る。
同じ団地、同じ棟に住む人たちは、団結力が近いのか、
常に、誰がどうした・・という情報が飛び交う場所であり、
それは真実、それはウソ、というデータに基づいた判断はされず、
好き、嫌い、面白そう、つまらなそう程度の感情に左右されるデータで
奥様方の噂にのぼる。(らしい)
また、ストーリーとはあまり関係なさそうであるうえ、
しつこいくらいに挟まれる、ありえないような言葉遊びが、
どんな意味をもつのか、最後までわからずじまいだった。
あり得ない「言葉の間違い」も、団地ならあり得るのかもなぁ。
P.S.
ごぶがりです。(こぶさだです)・効果きしめんです。(てきめんです)
放っておくと、泥酔状態で。(脱水状態で)
心臓にヘルスメーターが入っているんです。(ペースメーカーやろ?)
誰かついてきたら、うまくしばいてください。(さばいてください)
人生はサバイバルだ。(人生はサバンナだあ〜)
団地
奇才阪本監督のみごとな一本。「団地」はこの世であり、「宇宙船」はあの世。「意識は死なない」人間の可能性について、ここまでエンタテイメントに仕上げた作品は海外も含めて観たことがない。この作品のキーワードは、「境界線」。「離れれば、境界線は消えて、近づくと、境界線が生まれる」というのは、この世における人間関係そのものだ。床下と林のなかで主人公が体験する「境界線が消える瞬間」、というのが実にわかりやすくて魅力的。映画鑑賞者であるわたしたちにもじゅうぶんに想像できるから。ラストのキーワードは、へその緒を「忘れること」すなわち「離れる」こと。だからこそ、主人公夫婦の望みが叶うのだ。
実に深い映画だなぁと言いたい
笑いながら悲しく感じられる映画。
たまにはおかしいポイントで笑えるってのはすごいよかった。単純なコメディーはあんまり好きじゃないけど、面白いところだけがいい。
団地についてよく分からないが、映画には確かにみんながコメントしたように、小さな社会的な枠組みでもあって社会のいろんな現象も団地にそのまま映される。
この映画がとくに取り込んだのは、噂ってことだが、中にも根掘り葉掘りできる深いところもいっぱいあると個人的に解釈したい。
これは団体vs個人の物語だ。。山下夫婦は明らかに人に嫌われるタイプではないが、最初自治会のことに興味満々の山下清治は自分の落選をきっかけに団地から消えると決心したことをきっかけに、ヒナ子と夫婦二人は完全に団地の人のところから離れる。ヒナ子はみんなの前に出たりするが、噂が流れる時点からでもその話に参加しないし、弁解もしない。生活的にもぢんりれきにもその団地から離れる。その証拠に清治も「私はあなたと漢方薬だけがいとると十分」と言った。
そのあと、夫婦二人は団地から脱離する一方、さらに死んだ息子のこと、マスコミに追われることしか考えない。それもこの後のことと繋がっている。今度団地の人が噂を流し大騒ぎになっても全く気にしないひな子二人は、真城の話を聞いて息子に会うために漢方薬を一筋に作る。
この時点でもう二人は団地と全く違う世界で生きている。真城の言ったことは理解不能でも、団地後ろの林のように、聞くと二人は落ち着ける。
真城の言った「人間こそ神秘的」という思想は、ずっとマスコミや噂に悪影響される清治とひな子にとっては救い草みたいもの。彼の言葉を信じること=いまの暮らしを放棄し彼の世界に参加すること。つまり二人は「現実世界」=「不合理ばかりある虚構の世界」(真城によると)が嫌になって、新たな団体に属することもできた。新たな世界を選んだ。
しかもその世界は一番団地との衝突は宇宙船みたいなものの出現のところで現れる。
未練もない二人は宇宙船の中に君子夫婦と対話した。別れのようにこれから息子に会って苦痛のない世界で生きるってことかなぁ。。
最後にはよくわからないが、息子も帰ってきたようだ。まさかのSF!
特にこの映画の雰囲気が好きだった。笑いもあり、なんとなく落ち着ける。また未練のなさそうな夫婦二人を見て悲しい気分にもなる。
一方、時間的には完全にロジック的ではなく、期間ごとに示されて先に見せることもあってあとで解釈する形も気にいる!示すことの順番を変えることで疑問を残したり、時にはなるほどと見る人に思わせたりしてよかった。脚本に工夫したということだ。
最後SFになるとは思わなかったので、逆によかった。
映画のテーマとして、私たちの「現実世界」には辻褄の合わないこと、ロジックに従わないこと、不合理なことがいっぱいある。息子の死で未練もなく社会に対して団地に対して愛想もない夫婦二人には特にそうだ。
だから地球人じゃない「人」にも不自然なく完全に頼れるに決まっている。
収納の疑問。
今作に登場する築年数の団地に床下収納なんてあるか?
という疑問が冒頭からあった自分も団地に住んだ経験
がある。不気味感覚を持ったらそれが最後まで続いて
しまい、人情コメディを期待して入ったオバサン達が
鑑賞後「何この映画~」と言っているのがかなり笑えた。
藤山や岸辺をはじめとする名優が可笑しみ溢れる演技
で笑わせてくれるも後半でガラリ印象が変わっていく。
団地に住むということは何かしら秘密を持つことかも
しれないよな~なんて確かに頷くこと多しだが、万人
ウケしそうなタイトルと俳優に肩透かしを食わされる。
(今年は団地映画が多い。海、床下、宇宙…次はどこ?)
脱力系コメディ+...
藤山直美さんと岸部一徳さんが主役なので、おそらく脱力系コメディという想像が働きます。確かに脱力系コメディなのですが、まさかのSF要素が。その構成自体も笑えます。なぜか「不思議惑星キン・ザ・ザ」を連想してしましました。
悲しみを燃料に(でも廃棄)
図らずも団地映画を連続で観てしまったが、耽美的に描かないこちらにグンバイが上がった。
人の生活には悲しみが根底に流れている、だからこそ、美しい。そう断言されても全然ピンとこない。ピンと来るために物語が作用する場合があるようで、この場合が本作にあたる。あとは見せ方だが、理解を先回りするセリフと感情表現の抑えられた演出によって下品なわざとらしさがなく、考える余地のたのしみにハメられ、ハマっていった。あっけらかんと清々しいくらいのむなしさをみて、こちらは涙した。途中からは藤山直美が掃除機かける仕草すら感動的だった。だが序盤からいやな予感はあった。もしかしてエヴァンゲリオン展開か?と。
そうして、やはり中盤から狂った。狂うのはいいのかもしれない。が、全員が狂って見えてしまったのでシラけた。全然別のストーリーを形成してしまった。エヴァというか、松本人志の「大日本人」みたいな感じになっていた。悲しみを燃料に力技、何をしても良いとしても、やはり想像力というものはつまらないもので、歪んだ事実をコツコツと積み上げていくしかない。歪み具合は、中盤まで完璧だった。せっかく積み上げたものを一気に無かったことにするその勿体無さが、笑える、という話に堕した。
団地=UFOというのも分からなくもないが、説得力が欲しかった。団地の映し方にフィクション風が、(今思えば散見されるものの)もっと印象づけてあればまだ狂わなかったのかもしれない。
すごくよかった
変な登場人物が変な物言いをして、しょうもないギャグ描写だなと思っていたらまさかの必然性でびっくりした。
漢方薬を作る描写がとても丁寧で、目に楽しかった。
団地暮らしには昔から憧れがあるのだが、自治会的な面倒くささを目いっぱい描いていて、遠くにあるからよく見える感じがすごくした。
こんな渋い映画を誰が見るのかと思っていて、客も6人だった。見たらすごくよかったので応援したくなる。
結末は意味がよく分からなかった。どういうことなんだろう?何かのエラーが起こったのだろうか。
夫婦の哀しさが可笑しさに繋がっていかないんだよなぁ
阪本順治監督、藤山直美主演。
この組み合わせは2000年に映画賞を席巻した組み合わせなので、期待は大。
今回は芸達者の岸部一徳も加わり、藤山直美と夫婦役だというのだから、面白くならないわけがない・・・はず。
漢方薬店を廃業して大阪郊外の団地に引っ越してきた山下清治・ヒナ子夫妻(岸部一徳、藤山直美)。
引っ越してきて半年。
引っ越してきたのは、一人息子の事故死がキッカケ。
団地の井戸端雀たちの噂は絶えない。
そんな中、自治会長候補に他薦された清治は、選挙で落選してしまう。
「清治って意外と人望なかったんやねぇ・・・」という当の推薦者の一言に傷ついた清治は、床下収納に隠れて人目を避けるようになってしまった。
そんな生活が続くうちに、井戸端雀たちの間で「清治さんは殺された」という噂が広まってしまう・・・
というハナシ。
こうやってまとめてみると、2011年の『大鹿村騒動記』のように小さなコミュニティに巻き起こる騒動のようで、なんだか可笑しげ、笑えるコメディって感じがする。
が、なんだか出来上がった作品は、うまくまとまっていない。
これは、もう脚本がガタピシしているせい。
時間を現在から過去、さらに大過去と行ったり来たりして、とりとめがない。
わざわざ行き来して進めるハナシでもなかろう、とも思うのだが、井戸端雀たちと同じく観客をも目くらまそうという感じで、これがいただけない。
観客としては、山下清治・ヒナ子夫妻の気持ちに。すーっとはいっていきたいところなのに、はいっていけなくなってしまう。
山下夫妻が交わす言葉は、軽妙のようでいて、その実、息子の急死が陰に隠されていて、かなり哀しいのだけれど、そこいらあたりのリアリティがどことなく欠如している。
たぶん、これは背景のせい。
ふたりが暮らす団地生活に、生活感が少ないからだろう。
お好み焼きを副菜にして晩御飯を食べるというような描写はあるものの、部屋の様子そのものに存在感が希薄なのだ。
結果として、リアリティがあるのは、
ヒナ子に扮した藤山直美による「ひとりバーコード」のシーン(これは図らずも落涙)と、
清治・ヒナ子による5000人分の漢方丸薬づくりのシーン(これは本当に作っているからだろう)だけということになってしまった。
また、リアリティの欠如が、結果的に、最後のあっと驚く展開を活かしきれなくしてしまった。
この仰天(字のとおり点を仰ぎみる)展開は、故・桂枝雀が分類した落語のオチの中では「ヘン(変)」にあたるもので、現実世界から一気に不条理世界に(これまた、文字どおり)飛んで行ってしまうべきもの。
残念ながら、映画では、もうただただ頭のなかに疑問符が「?????・・・」と並ぶだけの結果となってしまった。
(はじめから伏線が張られていたので、驚くまでに至らなかったので、もっと悪いのかも)
その後の、山下夫妻と自治会長夫妻(石橋蓮司、大楠道代)とのやり取りも、間延びしていて、興ざめ大。
この部分のテンポの悪さもあってか、エンディングの「なんたらが、なんたらした結果」登場する心温まるシーンも活きておらず、すこぶる残念無念。
と書いているうちに映画の印象がどんどん悪くなっていく・・・
書いているうちに☆半分が、どっかにいってしまいました。これも、なんたらが、なんたらしたせいやと思います
関西のボケとツッコミがしつこ過ぎて逆にいい!
舞子はレディ以来、関西弁をしゃべる演技をする岸部一徳さんに興味を持ってしまい、一徳さん目当ての映画鑑賞でしたが、主人公の藤山さんを始め
そうそうたる役者さんの布陣が面白おかしく、強烈に演技しているのを観て、笑い泣きしてしまいました。勿論、脇を固める役者の方々もバッチリでした。
始めの方の藤山さん一徳さん夫婦での食事シーン
“お好み焼きをオカズしてご飯を食べる”
やっぱり、コレや!コレ!
お好み焼きには、絶対ご飯がないと始まらん!!
と、映画を観ながら心の中で叫んでいる自分がいました。かなりの共感でした!
脱線してしまいました。
映画の内容に関しては、関西のノリの笑いをしつこいぐらい散りばめながらも、
一徳さんの出だしの台詞
今は、社会全体がノイローゼみたいやもんやから
に始まり、猟奇的バラバラ殺人事件や児童虐待にパワハラ?などの社会全体の問題を滑稽な形にして、笑いにしながらも、人と人との繋がりを通してさり気なく提起しているようにも感じました。
しかしながら、なんせ、笑い要素が強過ぎて、シリアスな所もきちんとありながらも、観ていてほんま楽しい映画やと思いました。
藤山さんも最高やけど、
やっぱ一徳さんは別格です。
あれっ~!?とんかつは? ◎いいです!!
多分、必ず意見が出るであろう
最後の方での、ある物体出現場面。
話の筋から仕方ないのでしょうが、物体自体がなんか、ちゃっちい感じで少し残念でした。どうしても見慣れたアメリカものが頭に浮かんでくるので…
そもそも、わざわざ出現させなくても良かったのでは?と感じた次第です。
すいません。
あと、幸運にも公演初日だったので舞台挨拶も見れました。石橋さんが、かなり飛ばされていたので本当に面白かったです。マスコミ無しだったので、少し何でもあり状態での笑いの絶えない舞台挨拶は最高でした
全13件を表示