劇場公開日 2015年10月10日

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海賊じいちゃんの贈りもの : 映画評論・批評

2015年10月6日更新

2015年10月10日より角川シネマ新宿ほかにてロードショー

チャーミングな子役たちに大笑い!深さと軽快さのバランスが絶妙なホーム・コメディ

口論が絶えない離婚寸前の夫婦、ダグとアビーは3人の子どもたちに手こずっている。これからダグの父親の誕生日を祝うため、ロンドンからスコットランドへ長いドライブで向かおうというときに、4歳の末娘、ジェスはエリックと名づけた石を連れて行くんだと言い張って聞かない。「重すぎるからダメだ」というパパに「なら、息止めるー」とむくれるジェス。なんてかわいくておかしいんだ! 9歳の長女ロッティは大人のウソに敏感なお年頃のメモ魔。6歳の男の子、ミッキーは海賊に夢中。冒頭の数分で家族それぞれのキャラクター、ちぐはぐな状況がわかりやすく、面白く提示される脚本は「リトル・ミス・サンシャイン」を思わせる秀逸さ。

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自由すぎる子どもたちは大人を振り回しているが、ダメで身勝手な大人たちに振り回されてもいる。3人にとって、安らぎを与えてくれる大人はおじいちゃんだけ。いがみ合い世間体を気にしてばかりの息子たちにうんざりしているおじいちゃんにとっても同じことだ。浜辺へ繰り出したおじいちゃんと孫たちはかけがえのない時間を過ごすが、そこで思わぬ事件が勃発。子どもたちがおじいちゃんのためを思ってしたトンデモナイ行動が大騒動を巻き起こす。

崩壊しかけの家族が大騒動の末、再び絆を取り戻すなんて映画は山のようにあるが、この作品の面白さはちょっと新鮮。子どもの立場、子どもらしい言動、そのアホアホさと賢さ、素直さがリアリティとユーモアたっぷりに描けている点において類を見ないのだ。脚本・監督のコンビは英国BBCの人気コメディで即興演出を得意としてきた人たち。本作でも子役たちには脚本を見せずに状況を伝え、自由に演技をさせたというが、これがチャーミングな子役たちのおかげで大成功。セリフを言っている感ゼロで、大笑いせずにはいられない!

夢のように美しいスコットランドの風景、おじいちゃんが教えてくれた人生の真実が心に染みわたる一方で、子どもの視点を通して大人げない大人たちへの皮肉がピリリと利いている。深さと軽快さのバランスが絶妙。後半のドタバタ劇、胸を熱くさせる大団円まで、喜怒哀楽がぎっしりだ。

若林ゆり

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