「宇宙船はデッカく、ストーリーはウスっぺらに退化」インデペンデンス・デイ リサージェンス ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙船はデッカく、ストーリーはウスっぺらに退化
ID4の惨劇から20年を経て復興したアメリカ。
ここではエイリアン由来の技術を取り込みつつ、インフラを再建している。
ヘリコプターのローターはなくなり反重力推進が当たり前のものとして普及し、月面には巨大防衛基地が建設。個人携帯の銃は実弾ではなく光学兵器になった。
これらの架空の2016年の様子は、いちSFファンとしてビジュアル的にも設定的にも興味深かった。
が、良かったのは冒頭まで。
本編開始してからはというもの、どうでもいい人間ドラマばかりで緊張感のカケラもない展開が続く。
起こっている事は前作を凌ぐのにも関わらず、その事態の重さや恐ろしさが肝心の映像から伝わってこないのだ。
故にどんなにスケールが大きな事が起きても「どうせCGだろ」「最後は人類が勝つ」なんて思いがちらついてしまい、全くもって熱くなれなかった。
世代を経ての新キャラの魅力に欠けているあたりも、続編として弱い部分だろう。
戦闘シーンは映像的に新鮮な要素がまるでなく、全てどこかで見たようなシーンのつぎはぎ。
果てはエイリアンクィーンまで登場し、まんまキャメロンのエイリアン2その物の描写が続く。
前作最大の魅力だった特撮ならではの実在感のあるカットも皆無。本作でしか見れないようなオリジナリティがまるで感じられない。
かと言って割り切って「お馬鹿映画」として楽しめるかと言ったらそうでもなく、実に中途半端な作品なのだ。嫌いかと言われればそうではない。だが、決して褒められた出来ではないから人に薦めもしない。そんな立ち位置の続編と言える。
没に終わったウィル・スミス主演の脚本だったらもう少しまともな物になったんだろうか。
青春を彩った名作の続編が中途半端なカタチになってしまったのは残念でならない。