「シャマラン監督の復活」ヴィジット Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
シャマラン監督の復活
監督自ら「皆さん、お待たせしました!」と自身の過去作を皮肉ったコメントで世に放たれたのが本作だ。休暇を利用して祖父母の自宅に子どもたちだけで行くという冒険じみた設定のもと、電車を乗り継いで目的地へ。このご時世、子どもだけでというのはいささか不安だが、その辺は海外はどうなのだろうか。
さて、心優しそうな祖父母に迎えられ、温かい日々を過ごすのかと思いきや、徐々に感じる恐怖感や違和感がだんだん実体を帯びていき・・・という物語だ。普段見慣れない家屋や家財道具の中で一晩を過ごすのは子供心にワクワクを感じる一方、それが恐怖の象徴にもなるものである。昼間は優しい顔に見えた雛人形が夜になると途端に鋭い眼光の怪物に見えたりもするのである。
本作も夜になると不気味な現象が起こる。祖母が不気味な佇まいで部屋を歩き回り、突然嘔吐をしたりするのである。だが朝になればいつもどうりの優しいおばあちゃん。そんな不気味さが、ある時点で一瞬にして恐怖に変わる。この瞬間は本当に怖かった。言葉を失うとはこういう事かと思ったくらいだ。終盤に差し掛かると、これでもかと言わんばかりの恐怖描写の数々。ナイト・シャマラン監督作で恐怖シーンではナンバー1では無いだろうか。監督の代表作、「シックス・センス」程の衝撃や、「ヴィレッジ」程の不思議さは無いものの、これまた観たことの無い新しい設定の物語であり、非常に満足した作品であった。また、本作はPOVを用いているのが良い点で、POVのメリットを存分に生かした完成度である。これはぜひとも鑑賞して欲しい意欲作だ。