「邦題を変えた戦略も、功を奏して。」オデッセイ Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題を変えた戦略も、功を奏して。
実は映画関係の知り合いから、
この映画のことは
昨年の春から聞いていました。
原作は「火星の人(THE MARTIAN)。
米国で無料で読めるウェブ小説で、
あまりに好評なのでキンドルで99セントで発売したら
爆発的な大ヒット。
それをリドリースコットとマットデイモンで
映画化となれば、
期待は高まりますね。
原作もすごい薦められたので読んだのですが、
これが面白かった!
火星でサバイバルして生き延びるという、
今まで出会ったことがない題材です。
取り残されたマークワトニーの、
火星日記という形で綴られています。
しかも科学に基づいた解決が、
いちいち興味深いんです。
これもその知り合いから聞いたのですが、
日本の配給が悩んだのが邦題だそう。
原題の「火星の人」や「マーシャン」では、
コケる可能性があると。
日本は宇宙モノ、科学モノのレッテルが貼られると、
女子に避けられデートやファミリー層が
取り込めないらしいのです。
で興行的に伸びないみたいで。
最近だと、本国でウケたのに日本でコケた作品は、
「インターステラー」。秀作だったのにね。
逆にゼログラビティが当たったのは、
女子が主人公だったからみたいですよ。
で今作の邦題は、「オデッセイ」。
長い冒険なんてありがちなタイトルだし、
なんかピンとこないなぁと思ったものでした。
さて余談はこのくらいにして映画は、
素晴らしい出来でした!
宇宙での生き残り計画という独特の視点で、
絶体絶命の全てを科学的に解決していく様を
映像で見せられると、
爽快感すら感じます。
ちなみにほとんどが、
未だ開発されていないモノらしいけど、
科学的根拠に基づいている様に見せるエンタメも、
監督の手腕ですね。
理科が好きな子供たちに、
ぜひ観てもらいたいなぁ。
そして映画全体を支配するのは
絶望ではなく、
マークワトニーのスーパーポジティブ。
原作でもそれが魅力でしたが、
マットデイモンが軽すぎず重すぎず、
絶妙なバランスでよかった。
ピンチの時こそ、
自分にも周りにもユーモアが必要なんだな。
そんな素敵なことも気づかせてもらいましたよ。
楽観的な主人公に共感して、
1時間経った頃には全世界の人々と一緒に応援してます。
インチキな宇宙人や突飛なアクシデントや、
家族愛みたいのも排除した
原作の忠実な再現に、
その英断を称えたいですね。
絶望的な時には、
それを運命と受け入れるか、
諦めず問題を解決するかしかない。
マークワトニーの言葉は、
僕たちが生きていく人生サバイバルにも、
たくさんの勇気をくれます。
あぁこういう映画って、
ホントにいいですね!
全米が大ヒットした後の封切りで、
日本はどうかなぁと思ってましたが、
なかなか調子いいみたいですね。
2週間目の週末のTOHOシネマズ新宿は、
全ての大箱が満員御礼で、
3Dは諦めたぐらいです。
客層もカップルやファミリーが多め。
うーん狙い通り、
邦題のイメージが当たってよかったね、
20世紀FOXさん(笑)