「エマージェンシーマニュアル火星版」オデッセイ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
エマージェンシーマニュアル火星版
守備範囲外も嗜んでみようキャンペーンが勢力を増しつつあります。
オデッセイは辛気臭いことなく、とっても楽しいよと友人に聞き、では見てみようかなと思い、馳せ参じました。2D字幕で鑑賞です。
怖いところは殆どありません。冒頭で、お腹に刺さったアンテナを自分で抜くところは見てられなくて、手で顔を覆ってしまいましたが、それだけです。
たぶん、3Dでも物が飛んでくる系はなかったことでしょう。
基本明るく、隊長の趣味の悪い(ジョークなんですよね?)ディスコミュージックも楽しく、笑いもあって、見やすかったです。もちろんハラハラどきどきもありますが、心臓に悪いのは苦手な私が楽しめる程度のやさしめのやつでした。
ドナサマーにデヴィットボウイにABBAにグロリアゲイナーですってよ、生まれる前のナンバーばかりですが、聞いたことありますから、当然お若い方ものれます。
火星に取り残されたマークは、現状を把握し、植物学者らしくジャガイモ栽培を思いつきます。クルーの排泄物を肥料にし(鼻栓笑った)、土をつくり、水と酸素もつくり、ジャガイモは育ちました。発芽を喜ぶシーンがとってもかわいらしかったです。
うれしいですよね、1人っきりの星で、会話ができなくても、育つ生命がともにあるということは大いなる慰めになりますよね。うんうん、と思いました。
マークは古い通信機械を見つけ、地球との交信もできるようにし、死亡認定を覆し、自分の生還の可能性を見つけます。そのバイタリティたるや、浅い言葉が情けないですが、感動します。
水の作り方も、土の作り方も、私は分からない。
同じ立場に立たされたとき(火星には絶対いけないからありえないけど)、残された食料の尽きるときが命の尽きるとき、と諦めて人生を振り返るポエムでも作って死ぬまで泣き暮らすのが関の山なんです。
それ以外に思いつかないと思うのです。
でもマークはそうではない。もちろん訓練をつんだ宇宙飛行士で、人としてのポテンシャルが常人とは比較にならないこともありましょうが、絶望に対面して、やってやろうじゃんか、死んでたまるか!と奮起し、現状を分析して、策を練り、事をなし、それらをやんちゃな性格をフル活用して文字通りサヴァイブしてしまうわけです。多少の汚い言葉とともに。
真似できませんが、わくわくするし元気がもらえてしまうのですよね。
まあ、いろいろあって、仲間のクルーが迎えにきてくれるので、その宇宙船にひらってもらうためにすでに火星にあったロケットに乗ってさらば火星!と相成ります。
さすがに、ロケット発射時にマークは泣きます。一緒にこちらもぽろりともらい泣きでした。
SFに精通した方には突っ込みどころもたくさんあるのかも知れませんが、私のような門外漢には何にも気になりません。絶望のなか生き抜くサバイバル教本(それも飛びっきり楽しい)として、楽しんだらいいんではないでしょうか。