「水の記憶」真珠のボタン SHさんの映画レビュー(感想・評価)
水の記憶
風景や人を模様のように描こうとしたのは印象派からだったか─。
セザンヌやモネ、ゴッホなどの絵を見ると、必死にそのものが持つ意味をぬぐい去ろうとしているように見える。
またアンセル・アダムスやスティーグリッツの写真なども、事物を模様のように捉える姿勢を、時として、感じる。
個人的にはそんな事物を見事な模様として提示されると、言いしれぬ快感に襲われるのだが、この映画もその範疇に含まれるものであった。
ただ、グスマン監督が偉大な芸術家と大きく違っている点が一つある。それは、模様のように捉えているそれら事物に、独自に意味を・意図する物事を、積極的に与えようとしているところだ。
絵画・スチールを超えた映画芸術をグスマン監督は創り上げつつある。
チリの悠久の歴史を中心に据えながら、全宇宙的な哲学を語り尽くしている、偉大なる映画である。
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