劇場公開日 2015年8月15日

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「潜水艦サルベージ・サスペンス」ブラック・シー bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5潜水艦サルベージ・サスペンス

2022年10月15日
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鑑賞方法:VOD

潜水艦ムービーと言えば、古くは『Uボート』から、最近では『ハンター・キラー』等、数多くの作品が製作されてきている。しかし、これまでの潜水艦作品は、戦争や国家間の対立をモチーフにしているのに対して、本作は、潜水艦による、お宝探しのサルベージ・サスペンスに仕上げているところが、斬新なシチュエーション。

こうした作品の面白みは、外界から閉ざされた潜水艦の中で起きる、事故や危機をどう乗り越えていくのかという点。本作も、潜水艦の機械の故障、乗組員同志の確執、隠された陰謀等、様々なハラハラ、ドキドキの要素を次から次へと盛り込んで、最後まで緊迫感のある展開が続く。潜水艦に水が浸入し、船内に閉じ込められるシーンは、観ているこちらまで息苦しくなってきた。

ストーリーは、サルベージ会社を突然解雇された主人公ロビンソンが、第2次世界大戦当時、金塊が積まれたドイツ軍のUボートがグルジアの深海に沈んでいることを知る所から始まる。そこで、一攫千金を狙い、急造のロシアとイギリスの荒くれ者12名を乗組員に選び、配船寸前の潜水艦を手に入れて金塊探しに向かう。

当然そこには、老朽化した潜水艦による不具合や事故が起きる。また、元々が無法者である乗組員による、醜い仲間割れや、殺人までもが起こり、密閉空間でのサスペンスとしての緊張感も高まっていく。そして最後には、船長にも知らされていなかった、このサルベージ企画における陰謀が、明らかになり、僅かな希望までも絶たれていく。

主役の船長ロビンソン役を演じたのが、ジュード・ロウ。元々、こうした役には適役な彼。本作でも、前半は、荒くれな乗組員を威厳を持って統一していく船長だったのが、金塊を手にてからは、冷静さを失い、鬼気迫る狂気な表情で命令をくだしていく、両面の演技を魅せている。しかし、ラストシーンでは、諦めと共に、人としての誇りを取り戻すのだが…。

作品は、2014年の作品であるが、ロシアとイギリス、東西の乗組員による金塊探しというのが、今見ると、現代の世界情勢を皮肉っているとも思えてくる。

bunmei21