DOPE ドープ!!のレビュー・感想・評価
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BLMの動きが拡大している今だからこそ観るべき、ドープなブラック・コメディ!
ロサンゼルスの犯罪多発地帯を舞台に、ヒップホップオタクの高校生3人組がドラッグ犯罪に巻き込まれていく様子を描いた青春クライムコメディ。
主人公マルコムが憧れる女性、ナキアを演じるのは『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』『ダイバージェント』のゾーイ・クラヴィッツ。
製作/ナレーションを手掛けるのは『プラトーン』『パニック・ルーム』の、レジェンド俳優フォレスト・ウィテカー。
「ドープ」とは「麻薬」を意味するスラング。
そこから転じて「間抜け」や「バカ」という意味でも使われるようになり、さらにそこから転じて「素晴らしい」という意味でも使われるようになった、らしい。
映画の冒頭で「ドープ」の意味を教えてくれる親切設計。
わざわざ説明してくれるということは、アメリカでもそんなに一般的な言葉じゃないのかな?
主人公たち3人は90'sヒップホップをこよなく愛するギーク(オタク)。
オタクといえば英語ではナードと表現するかと思っていたが、ギークという言葉もあるんすね。
ギークのほうが肯定的な感じ、らしい。ナードは社交性のないオタクって感じかな。
日本でオタクという場合はナードというイメージが強いのかも。ギークはマニアに近いのか?
まぁとにかく「ボトムズ」と呼ばれるほど、ギャングが蔓延る治安の悪い都市でオタクなんかやってたらとにかく大変。
スポーツマンからは馬鹿にされ、不良たちにはエアジョーダンをパクられる。女にはモテないし、まさにスクール・カーストの最底辺。
主人公マルコムの周囲にいる黒人の若者たちは「悪こそクール!」みたいな思想をしており、マルコムが勉強して良い大学へ進学しようとするだけで「エセ白人」と軽蔑してくる。
この映画で描かれているような黒人のコミュニティ意識は、日本に住んでいる以上なかなか理解しがたいものがある。
近年、黒人↔︎白人の対立がメディアを騒がせているが、本当に深刻なのはこの「黒人間の意識の差」なのでは?
ギャングやドラッグというカルチャーをカッコ良いものと見做している層と、麻薬やギャングなどとは距離を置き、勉学により身を立てようとする層。
この2つの層の意識の対立が黒人間での衝突を招き、それが黒人=暴力的という偏見を生み出し、結果白人↔︎黒人の対立を生み出しているのかも。
過熱するBLM運動だが、黒人コミュニティの意識変革も差別の撤廃と等しく大切なのだろう。
まぁ口で言うほど簡単な問題じゃないし、どうしても日本で暮らしているとBLMは対岸の火事だと思ってしまって深く考えないんだよねぇ…😅
BLMについて考えたり議論することは、日本国内にも歴然として存在する差別問題を考えることにもつながるし、日本人だからといって意識しないでもよい問題では無いんだよね…。
話がズレてしまったが、本作で描かれるのは「黒人」からハズレてしまった黒人の生き辛さ。
クライマックス、第4の壁を越えて投げかけられるマルコムからの問いは強烈だ。
スラム出身の黒人であるというだけでレッテルを貼られてしまうマルコム。
そんな自分だからこそ見える景色があるというマルコムが見つけた答えは、容姿や性別、出自などでレッテルを貼られがちな現代の日本社会においても通用する普遍的なものであるように思う。
ドラッグのディーラーを出し抜く展開は爽快であると同時に、汚い手を使わないと黒人がハーバードへ進学することは出来ない、と言う痛烈な皮肉にも受け取れる。
全編にわたり差別や偏見などに対するアンチテーゼが提示されるが、決して難しい映画ではない。
皮肉の効いたブラック・ジョーク満載の犯罪&青春コメディ映画であり、肩の力を抜いて楽しむことができる。
序盤から怒涛の如く押し寄せてくる理不尽な展開。
不良たちを避けて帰宅しようとしたばっかりに、どんどん訳がわからない展開に巻き込まれていくマルコムたちの姿には大爆笑!🤣
何気ないセリフが後半の伏線になっていたり、マルコムがどんどん窮地に陥っていく様子を無理なく描いていたりと脚本も上手い。
個人的には前半のおバカなノリをラストまで引っ張って欲しかったが、想像以上の良作だったことは確か。
素晴らしく(dope)・おバカな(dope)・麻薬(dope)ムービー。
ブラック・パワーに満ちたブラック・コメディ満載のブラック・ムービー。
不安定な情勢の今だからこそ、鑑賞することをオススメ!
なかなかキュート
なかなかにキュート。主人公3人組がそれぞれ良い味出してるし、ストーリー展開も楽しい。また、90年代(ばかりじゃないけど)ヒップホップの選曲も楽しい。愛すべき小品。
ただ、困った結果、結局ドムやAJと同じ世界に足を踏み入れてしまったのでは、という思いは否めない。
ちょっと気になる。
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