「こんなDC映画を観たかった。」ワンダーウーマン m Bさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなDC映画を観たかった。
老若男女楽しめる、これぞスーパーヒーロー映画。
「ダークナイト」のヒットから、その後もDCはヒーロー映画に深みやリアルさを追求したため、暗く重くスカッとしないものばかりが生まれていった。
結局、その路線はノーランだからこそできたことが露呈された。
最強ヒーローが対決したあの映画も、スナイダーは深みをもたせようとがんばっていたが、ビジュアルにこだわるばかりで、全然深みがなかった。
「正義」の問い方、「ヒーローとは何か」という根源的な問いの答えも、中途半端だった。
しかし、今作は違う。人間描写を丁寧に描きながら、誰にでもわかるわかりやすさで、「正義とは何か」
「人間とは護るべき存在か」
「人の心とは」
というヒーロー映画につきものの根源的な問いに明快に答えている。
まさに、これぞスーパーヒーロー映画。皆が観たかった、憧れるヒーロー像である。
「モンスター」で有名な今作の監督は、アクション映画を撮り慣れているとは思えないが、期待をよい意味で裏切る大迫力。
ワンダーウーマンが例の衣装で飛び込んでいくシーンも、本当なら爆笑しそうなものだが、映像のすごさと丁寧な人間描写もあり、シリアス感をギリギリ崩さないところで保っているため、ハマって観ることができる。
今までマーベルもDCも、ありきたりなヒーロー映画を避けようと必死に様々な視点や描き方を投げかけてきた。きっとこれからも必死に様々な角度を模索していくだろうが、ここにきて、「ごくストレート」で、「明快な深み」のあるヒーロー映画が誕生したことは、逆に新鮮にうつる。
女性賛歌だけに終わらない展開だし、ラスボスに主人公がやってることへのツッコミを忘れさせない展開など、小さな気配りも忘れない。
また、絶対最強に見える主人公も、最初に同族の死を見せることで、よい緊張感を保ったままで最後まで見せることに成功している。
あのシーンがあってこそ、「ひょっとしたら主人公もやられる可能性がある」という認識につながる。
こういった整合性をきちんと示しているから、どれだけとんでもないアクションが繰り広げられても、バカ映画には決してならない。見本のような展開である。
公開からはや一ヶ月、公開期間はあとわずかだが、すべての人にこの映画をおすすめする。ぜひ、大画面で観てほしい。
ヒーロー映画をあまり観ない人にもわかりやすいし、今までのDCをはじめとする鬱展開に嫌気がさしている人にもおすすめだ。
次回作も決定したが、あまりに出来がいいので次作がどうなるか不安ではある。しかし、ぜひ、監督には「真のヒーロー映画」を世に送り続けてほしい。