「漫画が原作だよ♪」スーサイド・スクワッド FMovさんの映画レビュー(感想・評価)
漫画が原作だよ♪
全くの予備知識なしに、映画館でトレーラーを観て「面白そうだな♪観たいな♪」というモチベーションだけで観ました。
15分くらい観て「ん?これってもしかしてアメリカのコミックが原作?マーベル?」と思い始めました(しかもマーベルでなくDCでした)。ファンの方ごめんなさい。バットマン出てる時点で気づきなさいよ、ですよね笑。
もし事前に漫画が原作だとわかっていたら、序盤の凄まじいスピードで済まされる人物紹介シーンや、若干無理矢理なストーリー展開についていけたかと思います。裏を返しますと、予備知識がないと置いてけぼりをくらいます。
一瞬しか出てこないキャラクターもいて「ん?あいつは誰だったんだ?」と思いながらエンドロールを迎えるという羽目になります。「フラッシュ」とかそんな感じです。
紹介動画ではコミックっぽい作りになっていますが、本編の紹介シーンでもアメリカンコミックっぽい要素を入れてくれていたら、「あ、漫画が原作なのかな」とすぐ気づけたと思います。原作の画像を一瞬映らせるとか。
「アメリカ人なら皆知ってるからそんな要素入れなくても分かってるよ」ってことなんでしょうけど。
色々取りこぼした気がして、普段はあまり観ない特典映像を観たら、色々見えてきました。
監督の、できるだけCGを使わずリアルさを追及するところや、キャストの仲の良さと団結力、小道具やセットへの細かいこだわりには感動しました。それを感じたからこそ、脚本や尺?への不満を強く感じてしまいました。
特に残念だったのは、けっこう重要なキャラクター、スーサイド・スクワッド(自殺部隊)司令塔アマンダさんの背景描写がきちんとなかったので、全く感情移入できなかったこと。ウィル・スミス演じるデッドショットは、かなりの時間使って背景や心理の描写があったのに…。原作では「家族を殺されて政府の高官にまで登りつめる」という設定があるみたいなのですが、急に出てきて冷酷で自分勝手な言動を繰り返すので、正直「なんだこいつ」くらいにしか思えず、最後まで彼女の行動が理解できませんでした。
部隊のトップがそんななんで、どんなにその部下がお国を救うために体張っても、なんだかなぁという感じで終わってしまったのです。
もうひとつ残念だったのは、話の展開が身内過ぎてスケールが小さかったこと。今後も続編があるならば、まあ一作目はこれくらいか?とも思うかも知れないですが、「国の危機を救う」とか言いながら、結局ことの発端はアマンダさん自身の火の不始末だし、最後まで身内同士の戦いだしで、悪党集団のわりに煮え切らない感じで終わっています。
せめてもうちょっと外部の悪党と戦って欲しかったですね。それが皆の共通の敵だったら、首に仕込まれた爆弾を爆破されないためでない動機づけができて、よりすっきりまとまったのでは、と思いました。
しかし、ハーレイ・クインは何度も見直したくなるくらい可愛かったし、話し方やセリフも好きでした。衣装もこだわり抜かれていて素敵で、きっと今年のハロウィンでは彼女になりきるひとが増えるはず。
また、ジョーカーの役者さんの役作りも、本気感が伝わってきてとても良かったです。まゆげないしすごく怖かったので。歯は一度誰かヒーローに折られて、総差し歯?という設定のようです。