「女優2人が良い」湯を沸かすほどの熱い愛 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
女優2人が良い
総合:75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
冒頭から問題がある家族像が映し出される。亭主が蒸発し家業の銭湯は閉鎖していて、娘は虐めにあっている。だから母の双葉が突然の癌と余命の短さを告げられた時も、自分のことよりも残された人と家の立て直しに全力をあげる。それは公式ウエブによると
・家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる
・気が優しすぎる娘を独り立ちさせる
・娘をある人(産みの母親)に会わせる
である。余命を知って自分が自分のためにやりたいことをしようとした『死ぬまでにしたい10のこと』『最高の人生の見つけ方』に対して、決定的に違う部分である。
そんな双葉は結構強引で驚いた。娘の安澄に対して事情もろくに聞かず1人で虐めに立ち向かうように仕向けるし、沼津への旅行では安澄の産みの母親をいきなり平手打ちするし、自分を捨てた実の母親の家に石を投げる。特に娘への虐めへの対応は、そこが物語の焦点ではないし結果的には上手くいったようだから良かったのだが、個人的にはしっくりこない。
また娘が体操服を脱いで制服を返してと訴えた後に具体的にどうなったとか、部分部分で成り行きと結末をはっきりと示さない脚本と演出も気になった。医学に詳しいわけでもないから色んな症状があるのは前提としても、私の友人がたまたま癌で闘病中なのだが、友人と比較して双葉が最後のほうまであまり症状が出ないのも違和感があった。
だがそうじて面白かった。特に宮沢りえと杉咲花の2人の演技は特に良かった。この2人がこの年の女優賞を獲ったようだがそれも納得する。