この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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戦時下の広島で生きる女の子の物語!
戦時下の広島・呉で一生懸命に生きる主人公すずの日常を描いた作品。
戦争を経験をしていない多くの世代は、映画やテレビ、書物などでしか知る機会がありません。そして、戦争のない平和な日々が当たり前で、自分が生まれる何十年か前に日本で起きた出来事だというのを思い出すこともありません。
この作品はどこにでもいる女の子を通して、戦争で突然大切なものが突然奪われる悲しさや理不尽さを観ている人たちに伝えてくれます。とは言って悲しくて悲惨な「火垂るの墓」とは違い、配給が少なくなってお米やお砂糖が手に入りにくい中であるもので工夫して料理したり、明るく前向きに生きている姿に感銘を受けます!
ストーリー全体はスローテンポなので、すこし退屈に感じるところもあるかも知れませんが、映画館で作品にじっくり向き合ってかったと思える作品でした。
戦時中を生きた人たち
じわる。
戦争の記憶
今の日本は本当に幸せ
どんな時代にも日々の暮らしがある
戦中の広島を描いた作品ともなれば、確実にあのことは避けて通れない訳で、かなり重い作風になっているのだろうなと思ったら、思いのほか笑いが絶えない作品になっていてちょっとビックリ。
でもまあ確かにそうだ、戦争が起こっても日々の暮らしは絶対ある訳で、それは他愛もない話もするだろうし、笑いも起こるだろうし、恋心も抱くだろうし、お腹も空くだろう。
当然ながら当時の暮らしを知らない者としては、主人公・すずの暮らしぶりを通して当時の人達はどんな暮らしをしていたのか疑似体験することができ、とても見応えを感じた映画でしたし、小規模公開ながら大ヒット&高評価連発なのも思わず納得の内容だったなと思いました。
しかしすずのキャラクターが何とも言えないおっとり感、のほほんとした性格で、とても癒されたなぁ。
彼女について丁寧に描かれたモノローグのおかげで、物凄く物語りに入り易かったし、すずと言う人物に物凄く心惹かれました。
戦争が激化する暗い時代に突入しても、彼女がいれば間違いなく笑いが絶えない生活を送れそうですね。
あまりの天然ぶりに何度も笑わせてもらいました、夢見がちで、絵を描くのが大好きだった設定も作品をより良い物に彩っていたと思いましたよ。
そのすずに命を吹き込んだのんの声がこれ以上無い嵌り役、やはり唯一無二の存在だなと改めて実感しました、実写での復活も心待ちにしています、そして周りのプロの声優陣も完璧サポート、聞き応えがあって本当に素晴らしかった。
でも笑いが絶えない作風だったからこそ、ささやかな幸せを蝕む戦争と言う暗い影が、ズシリと心に重くのしかかりましたね。
当時の人々は一体今がどんな状況で、この後どんな結末を迎えるのか知らない、そう思うと胸が締め付けられる思いで一杯です。
現実はもっともっと悲惨だったのは間違いない事実、いろいろな意見があるのもよく分かる、でもあの時代を描いた映画がこれだけ話題になり議論が巻き起こるのは、とてもいいことだと思います、そしてこんなアプローチの仕方もあるのだなと、あの時代を描いた一つの映画として私は素晴らしいと思いました。
終戦の日、おっとりとしたすずが、珍しく感情をあらわにしたシーンは特に印象的だったなぁ。
しかしどんなに様々な感情が交錯しても、命あるものはそれでも生きていかなければならない、そんな中での希望溢れるエピローグを見ていたら、自然と泣けてきました。
感動の押し売りもなく、しかも説教臭くなくあの時代を描いていたのはホント素晴らしかったね。
そして当時の人々が耐えて耐えて生き抜いてくれたからこそ今の時代があるんだなと、再認識させられた映画でした。
絵のタッチの優しさも印象深かったです、お義姉さんのキャラクターも何気に好きだったなぁ。
なぜだろう、しあわせな気持ちになった。
選択は何度もあった
情感を込めて淡々と描いた佳作
上質な映画
公開をもっと続けて
2回目見に行きました。こんなに自然に涙が何度もあふれてくる映画ははじめて。2回目もしばらく立ち上がれませんでした。
のんさんのパワーはすごい。後半ほどぐいぐいひきこまれました。彼女の魅力は存在そのもの。存在するたけで価値がある。「あまちゃん」と、「この世界」だけでもすごい。むしろ出番がすくなければ希少価値。ピュアーさが一番の魅力。少なくても今後もよい作品にめぐりあってほしいとおもいます。吉永小百合さんのようなイメージがかぶります。人柄の魅力もありそう。いまの逆境にめげずこれからもがんばってほしい。今回どれかの映画祭でもし主演女優賞は無理としても存在価値をかえってみなさんが認めるのでは。パンフレットを読むと、エンディングの脚色はのんさんの演技から監督賞が触発されたところもあるとか。
昨日はNHKクローズアップアップ現代特集~のんさんが最初に登場。
かわいかったなあ。絵を描けるのもいいなあ。がんばる才能があるなあ。
声の良さに人柄がにじみでてます。まさにいまのおかれたさまが、あまちゃん第2章なのか? なあ。これからもガン張るでしょう!
久々に映画館が混んでいた
お前だけは普通でおってくれ
片渕監督作品は2009年に『マイマイ新子と千年の魔法』が面白いと聞き、上映期間の終盤の方だったので千葉から埼玉へ遠征して見に行って、その作品の良さに触れDVDまで購入するほど好きな作品だった。
その後、片渕監督がこの作品を製作している事を露ほども知らず、たまたま公開直後にクラウドファンディングでこの作品が製作されたのを聞き、監督が誰なのかを調べたところ、マイマイ新子の片渕監督だと知って興味が湧き観賞。
冒頭はのんさんののんびりとした喋り方に違和感(物語との齟齬を感じると言う意味ではなく、今まで出会ったことのないキャラクターとして)を感じたけれど、物語を見ていくうちにすーっと自分の中で馴染んでいくような気分になった。
観賞していると、アニメーションなのにまるで帰省したときに親戚のおばあちゃんから昔の思い出話を聞かせてもらってるような感じを受けた。
それは全体を包む淡い色調のおかげかも知れないし、大変な人生だったにも関わらずそれを感じさせない、のんさんののほほんとしたモノローグのおかげかも知れないけれど、そのお陰で観賞直後も(顔は涙でぐしゃぐしゃだったけど)清々しい気持ちで劇場を出れた。
周平役の細谷さんや哲役の小野大輔さんは他のアニメ作品で声質の感じやどんな演技をするか解っていたのに、予めキャストを知らないと途中まで全く気づかない位(アニメっぽい)演技の感じが無く、そこに住んでいた人として見れたし、細かいディテールが現代人の自分でも徹底的な取材を行ったんだろうなあと思う位にその時代の雰囲気に触れた様な疑似感覚に陥る位とても良かった。
そんな中でも観賞後に一番心に深く残ったのがクラスメイトだった哲からの「おまえだけは普通でおってくれ」と言うセリフ。
戦争の中、すずに掛けたこの言葉は戦争と言う1つの方向に意見が集中する(アメリカは敵だ!などの)時でも価値観をフラットに、そのままのお前でいてくれって事でもあり、
現代に生きる我々にとっては、日々SNSで人を叩く(糾弾する)人がどこかしらでいて、技術は進化しても人々はどこか自粛するのが当たり前のような違和感のあるこの世界で、そんな中でも普通の価値観を持ち続けることの大事さを解いてるように感じた。
この世界の片隅にってタイトルはすずさんがこの世界の片隅に生きてる(生きていた)って意味でもあり、この世界と地続きに今の世界がある(からこそ普通でいることの大事さを謳う)って意味にも感じたなあ…。
「今を生きる」
重たいけれど、どこかユーモラス。悲しい時代の温かな物語。
【賛否両論チェック】
賛:戦時中にあっても、努めて明るく生きようとする主人公やその家族が、温かい雰囲気の中で描かれるのが印象深い。同時に、そんな家族にも暗い影を落とす戦争の悲惨さも、ひしひしと伝わってくる。
否:物語はかなり淡々と進むので、思わず眠くなってしまいそう。方言がよく聞き取れないセリフも多い。
戦時中の1人の少女の生き様を描いた作品なので、背景は非常に重くて悲しいものです。それでも、どこか温かくてほっこりするのが、またこの作品の魅力でもあります。丘で軍艦の絵を描いていたすずが、憲兵にスパイと間違われ、憲兵が帰った途端に家族全員で笑い出すシーンなんかが、印象的ですね。
しかし同時に、そんな温かい家庭をも容赦なく引き裂いてしまう戦争の悲しさや、虚しさが淡々と語られているのも、また見逃してはいけないところです。
温かいけれど切なくて、切ないけれど温かい。そんな不思議なアニメーションに仕上がっています。
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