この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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いまだからこそ
キナ臭い昨今の社会の状況を見つつ、いまだからこそ作られた映画なのだと実感した。大手の製作会社が金を出さず、クラウドファウンディングで製作費をまかなったという事実も象徴的で、テレビドラマの安易な焼き直しが観客動員を稼ぎ、映画作り自体が商業主義によって合理化され本来のモノツクリの息吹を失いつつ有ある現在、口コミで動員を拡大し配給館を劇的に増やしていったということにまず拍手を送りたい。そして、普段ならばそうしたニュースに我先にと飛びつくマスメディアの多くが、その事実を報道することに消極的である印象も否めず、それもまたここ10年ほどの風潮を思わせる。
作品としては、まずアニメーションによる表現技術のレベルの高さ、卓越したセンスの良さが特筆ものといえる。柔軟でシンプルな絵柄のタッチが物語ともよく似合い、時折、ヒロインの心象風景を表すかのように展開される画面いっぱいの『絵』の構成が胸に迫る。彼女が居た風景、彼女が視た風景、そして彼女がなにを想ったかについて考えずにはいられない。淡々と綴られる戦中の庶民の日々、夫婦や家族の普通の情景に薄暗い時代が陰を落とす。いまとは掛け離れているようで繋がっている戦争の日常が、主人公の姿を通して我々に伝えて来るもの…。映画が伝える得体の知れない衝動を胸において、いまも世界の各地で空襲は繰り返され、核は作られ、そのことに対して我々はやはり無力だという事実を思い起こす。だが、それでもいうべきこと、やるべきことがあることをこの映画は教えてくれる気がした。上映後はやるせない沈黙が映画館のなかに漂っているようで、私は思わずまわりを見た。その沈黙は感動か。いま、その感動でなにかを変えることはできるのか。
キャパシティを超えた
感想を言おうにも自分の中にあるキャパシティを超えてしまった…。
すごいとか感動したを遥かに超えて観終えた今身体の力が抜けています。
ただ自分自信身近な人の死に対するトラウマを長年抱えていて今このトラウマが蘇ってきて苦しいやら自己嫌悪に落ち入り自暴自棄になっていたのですが
映画の中に出てくる
「時代は変わっていく」
と言うセリフに頭の中のドス黒いトラウマをスコーン!って撃ち抜かれた感じです…本当に。
良く聞くセリフなのに映画の中の話の流れが流れだからだろうか?
とにかく全身の力が抜けある長年抱えていたドロドロしたドス黒いトラウマがある意味除霊と言うか浄化された感じです。
下手な自己啓発本読むよりよっぽど効きます。
もうこの映画は好きだとかベスト映画を超えた別枠な作品になりました。
脚本の力
これこそ世界中に発信すべき
3回観ました。
1回目は真っさらな状態で、2回目は1回目の衝撃のままに、3回目は原作を読み、パンフレットにも目を通して万全な状態で。
もうとにかく素晴らしい。悪いところあります?ストーリーが素晴らしいことは言うまでもない。のんの声優も素晴らしい。コトリンゴの歌も素晴らしい。
そもそも原作が伝説級というか、神っとる。あれを実写ではなく、アニメでやったことを何よりも讃えたい。食べる、寝る、着替える。私たちが普段何気なくしていることを丁寧にアニメで描くことで視聴者は感動を覚える。近年では細田守作品によく見られるが、今作はその日常こそが主役。当たり前の行動が細部にまで丁寧に描かれていて、全く地味さは無かった。それをやり遂げただけでもこの作品は褒められるべき。
確かに、遊郭でのストーリーが原作からカットされていて不自然なシーンもないことはなかったが、全く気にはならない。それに、そのシーンを入れると3時間、4時間の映画になってしまう(それも観たいけど)
とにかく観ましょう。映画→原作の順をオススメします。
この世界の片隅に存在する自分を含める一人一人を尊い存在に思うはず。そして、この映画を世界中の人が観れば、永遠に戦争は起こらないはずだと信じています
アニメーション、なのに
のん大健闘
明るく生きるということ
日本映画史に残る名作ってありますよね。七人の侍、東京物語、ゴジラ、...
悲しくて悲しくて
悲しい。辛い。死んでしまうことよりも、大切な人がいなくなっていくことの辛さは、残酷で、計り知れない。悲しくて悲しくて辛くても前を向いて生きていくしかない。当たり前に大切な人が元気でいること、当たり前に白いご飯を食べれていること、当たり前に買い物や娯楽を楽しめていること、実感する。つい、70年前の出来事。なんにもなくて、凄まじい戦争が続いてて、沢山の街が焼かれ、沢山の人が犠牲になっていた事実。なんにもなくなった風景は東北の大震災を思い起こさせる。なくなってしまうことの辛さは思ってるよりずっとずっとやるせない。
見て良かった。今に感謝して。傲らないで生きていきたい。
いい映画には人生の全てがある
日常は面白いし美しい
ささやかな喜びに支えられていれば希望を繋ぐ事ができる。
ないものだらけでも、工夫すれば楽しむことできる。
何にも無いようにみえても、きっと何かがある。
喧嘩しても、言いたい事を言い合っても家族は温かい。
生きてこそ、生きていてこそ。
1回目にピンとこなかった人は、是非もう一度
生涯観続けることになる映画
映画を鑑賞する前にコトリンゴさんの楽曲が流れる予告編を見たのですが涙が止まりませんでした。何が悲しかったのか上手く言えませんが、映画を見終わってこれまで絵空事のようにしか想像できなかった戦争という災厄が自分の手が届くところまで降りてきた、そういう映画を見たんだと感じました。もちろん予告編の時点でそんな事は想像できませんでしたから、楽曲含む予告の構成が良かったことと自身の感受性が高まっていた結果でしょうが。
予告編で涙を枯らし尽くしていたので映画はある程度冷静に鑑賞できました。映画は終始登場人物達を身近な愛着を持てる人々として丹念に描いており、一般市民に降りかかる空襲の恐ろしさは音響もあいまって私が見てきた十数本の戦争映画の中でも一線を画していました。そもそも一市民でしかない私が英雄や悲劇の主人公ばかりの戦争映画に共感できる人物を探す方が難しいのでしょうが。とにかく全編通して画面も場面も写り代わりが激しく、悲劇的な場面の後に笑いが巻き起こるこの構成は「悲嘆に暮れる暇なんて当時はなかった」と作品を通して語りかけられているようでした。
歴史認識等は時代と共に変遷するものですが、この作品は徹底して当時の人々を描き出すことに集中しています。片渕監督の言葉をお借りすると今の時代と「地続き」に繋がっています。火垂るの墓と同様何十年たっても色褪せることはないでしょう。この二つは恨み節で作品に特定の匂いをつけていませんから。
最後に、私個人としては部分的にどこが良かったというよりも製作陣・原作者・のんさんを中心にしたキャストの皆さんに上記のような心境にいたるまで連れていってもらったという思いです。今後たくさんの方に見てもらいたいですし、私自身何度も繰り返し見ることになる作品です。ありがとうございました。
よかったぁー
何度も思い返してしまう
広島について知っていること
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