この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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何度も映画館に足を運んだ作品
普通に生きていく事が、外的要因によって困難になる。暴力はあらゆる人生を奪い、壊していくことを改めて突き付けられました。本作が上演される前に「野火」を観ていたので、あれとはまた違う戦争を知ることが出来ました。街を歩いていた人たちはどうなったのか。広島にいた人たちはどうなったのか。すずが迷い込んだ遊郭で出会った彼女はどうなったのか。。。。映像に収まりきらない命の消失を想像し哀しくなりました。特に終盤の、行方不明者を探す人たち、親を亡くした子供、子供を亡くした親、嵐のような別れと出会い、あらゆるシーンに思いを馳せました。
そうそう、町山智浩さんの解説を聞いた後に何度も観に行きました。何度観ても新しい発見のある作品でした。
それから、のんさんの声。のんさん以外ありえないです。
また、第40回日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞時は嬉しかったです。こっちを選んでくれてありがとう。とテレビに向かって感謝しました。
維新から70数年後
広島・呉といえば、ヤクザ映画の先入観があったりしますが、当然、そんなのは全く出てきません
柔らかい方の広島弁が、理不尽なことを緩衝しながら対処していく姿を際立たせています
今の人々は、大多数がこういう事が起きたら対応出来ないでしょうね
明治維新から70数年後の話ですが、今は、当時から70数年経っています
私達が戦前は大変だったなと思うのと、スズが幕末は大変だったなと思うのは、同じ年月を遡ってることになるんだなと考えてしまいました
戦闘シーンのない戦争映画
戦争で大切な人が傷つく、そしてかけがいのない命を奪われる。本土にあってもそれはかわらない。
ポワッとした導入部だが、どんどん引き込まれた。そして笑って泣けた。悲しいのではなくて、辛くて泣けた。
私はエピローグの女の子に涙が止まらなかった。世界中の人に観て欲しい傑作です。
確かに『この世界の片隅に』…。
前々から観たい映画でしたが、ようやく近くの映画館で上映が始まり、観てきました。
戦争時代が背景にあり、広島、呉と聞けば、当然、『蛍の墓』のような悲しく、辛い内容を予想していました。しかし、戦争時代を新しい切り口で、下向きに生きることを通して爽やかな風さえ感じる素敵な映画でした。
だからと言って、決して戦争を美化してるのではなく、戦争の悲惨さも十分伝えながらも観終わった後に、前向きに生きることを残してくれたのは、主人公すずさんが「のん」の声が優しさとゆるさを醸し出し、良かったと思いました。
のんさんはもう一度復活して欲しい女優さんです。
泣けて笑えてまた泣けた傑作
上映当初に少ない上映館から一人で観て、年明けすぐに戦中生まれの母と観賞する時には上映館に困らなくなっていたのが印象的…(苦笑)
映像のセンスがいいですね。ジブリで鍛えた片渕監督の作風にこうの史代さんの絵柄はピッタリだったと思います。本年末の完全版も期待してます。
見てよかった
戦争に関する映画ですが戦争そのものより当時の人々の生活が細かに描かれ素敵でした。
「この世界の片隅」ではこんなことが起こっているんだろうと思いました。
特に女性はきっとこんな思いで過ごしたのだろうと感じ、戦争により色々なものが奪われていく思いを感じました。
また、すず(のん)のほのぼのとした様子がとてもよかったです。
普通とは生きていくとは
観終わって、この世界からなかなか抜け出せなくて、それで感想をとりあえず書かなくてはと思って書いてます。
すずさんは普通なんでしょうか?
それにしてはあまりに幸せで、でも悲しくてやりきれなくて不幸で、でもやっぱり幸せで。
すずさんの生活を見ていたから、映画が終わってもすずさんがこの世界の片隅にいるような気がします。
やっぱり戦争ってむごいんだ、ということを描いているんだと思うんですが
広島の原爆資料館の展示も、一番むごいと感じたのは、原爆投下前のひとたちの普通の生活の写真で
ああそうだよな
生活があってそこにいきなり現れるのが空襲であったり原爆であったり
と改めて感じる映画でした。
すずさんは普通じゃなくて
というかみんな普通じゃなくて
みんなたくさん辛いことを乗り越えていってその先に普通があるんだと
これは戦争映画でもあり、私たちひとりひとりの映画はなのかなと思いました。
ずっと大事にしたい映画です。
原爆ドームを見上げつつ
ヤバイ。今日、原爆ドーム見上げつつ、悲しくてやりきれない聞きながら歩いてたら、泣いてしまった。
イデオロギー無きメッセージ。爆心地に残った唯一の建造物である原爆ドームの意味するところは、そゆこと。この映画と全く同じで。
だから、原爆被害の凄惨さを語るボランティア、あの赤い服着てる人達には、もうやめなよって言いたくなる8月某日、一年以上ぶりに二度目の鑑賞。
こんな雑な脚本でいいの?
最初は「こんな雑な編集でいいの?」というタイトルだったのだが、「編集が雑というのは違う」という指摘を受け、それもそうかと思ったので書き直し。
この映画が好評で超ロングランになっていたのは知っていて、いつか見ようとは思っていたところ、連続ドラマが始まりそれがとてもとても良かったので、たまらず原作を購入。
平均して月に15冊前後の小説を読む自分が、原作コミックを購入して以来、他の小説がまったく手に着かなくなるほど原作にハマった。
その余勢を駆ってレンタルで本作を見たのだが…
あれ?こんなの?
同じくドラマと原作にどっぷりハマっている妻は途中で寝てしまうし、自分も首を傾げながら見終わった。
まずエピソードの取捨選択がおかしいのではないか?
特にリン絡みのエピソードはほぼごっそり、最初に出会うエピソード以外は全面的にカットされている。
リンの話はすずの内面、そしてすずと周作の夫婦の関係に密接に絡むので、これを省略したら話が成立しないじゃないか…とは思うのだけど、まあどこを取捨選択するかは製作者の腕の見せ所でもあるので、カットしたこと自体に文句を言うつもりはない。
が、カットしたくせに後にすずが独白で「リンさん」と語りかけるシーンがある。
「居場所」についてリンに問いかけるのだが、そのリンのセリフは回想で唐突に出てくるのみ。
大空襲の後、リンが周作にリンの安否確認を頼むシーンがある。
そしてその後、リン絡みの話は放置(笑)
…なんなのこれ?
つまり一言で言うと「ほれ、やっぱりリンはカットできなかったんじゃん」なのだが、これはあたかもリン絡みのシーンを撮影していたのだが、後に編集でカットした時に対応するシーンの方はそのまま放置して完成させちゃった、という体に見えてしまう。
それが最初のタイトル「雑な編集」に繋がったわけだが…
「雑な脚本」が正しい表現なんだろうな。
シナリオという点では他にも気になるところはいくつかある。
終戦の玉音放送を聞いた後のすずの慟哭だが、あのセリフをあのように改変した意図が分からない。
あのセリフでは、単に食料自給率が低いから負けた、としか聞こえない。
原作どおり太極旗が掲げられるシーンを採ったということは、植民地支配のことを意味していたと思われるのだけど、植民地に食糧を供出させていたから暴力に屈しなければならない、という理屈は飛躍が過ぎて意味不明。
原作どおりの意味のことをすずに言わせたかったのなら、原作のセリフに勝るセリフはなかった。
解釈の違い、政治的意図、理由は何でも良いが、すずの慟哭に違う意味を持たせたかったのなら、太極旗は出すべきではなかった。
8/6の朝の径子との会話も、径子の途中のセリフをばっさりカットしたおかげで、セリフのテキストだけでは径子がすずに「とっとと広島に帰れ」と言っているかのようなセリフになってしまっている。
あの径子の一連のセリフは、すべて次のセリフが前のセリフを受けて繋がっているので、途中を省略したら意味合いやニュアンスが大きく変わってしまう。
ドラマでは一部のセリフの順番を入れ替えていたが、これでもニュアンスがかなり変わって聞こえた。
それでもドラマの方は「径子にはっきりとすずを引き留めさせたい」という意図が分かるので全然良いのだが…
声優の演技でカバーしていたが、あの猫なで声は径子のイメージとかなり違う。
同じことは終盤、終戦後にすずが近所の主婦と「記憶」について語り合うシーンにも言える。
そこも最後の「晴美を笑って思い出す」だけを残してその前のセリフを省略してしまうと、すずがもう早々と戦災経験を過去のものにしてしまったような印象を受けてしまう。
当初は小規模上映だったので、どうせ原作のファンしか見に来ないだろうから、リンのこともセリフの省略も、「あとは観客が脳内補完してね」ってつもりだったのだろうか。
原作をノーカットでやる尺はないのは分かるが、取捨選択が必要なのは分かるが、リンの例のように、1本の映画作品というより原作の歯抜けにしか見えないなぁ。
もし良かったらソフトを買おうと思っていたが、これは買わない。レンタルで見ておいて良かった。
近く完全版?が公開されるそうだが、これも多分見に行かない。
のんの声はとても良かったし、無神経なセリフの省略も脳内補完すれば楽しめるので、完全版のソフトはもしかしたら買うかもしれないが、その前にレンタルで見てもう一度判断することにしよう。
夫婦愛、家族愛の視点から
原作漫画:こうの文代氏
監督・脚本:片渕須直氏
気張らぬ風景の奥深さ、戦争の音と日常の鼓動の対比も
劇場の大画面と良音響で驚き映えますね。
混沌とした時代でも人は日常を積重ね生きて行く。
気構えさせない作風ながら広く深く細かな洞察からなる創り込みは片渕須直氏らしさ溢れるアニメーション映画と相成り、
情報量の多い作品、
観る方の視点により捉え方は変わって良いと思う。
いつの時代も、生きるとはこういうことだ。
反戦ものの体裁を取りながら、そういうカテゴリーを突き抜けて、「この世を生きるとはどういうことなのか」という普遍的なテーマに肉薄する類い稀な本物の名画と言って過言ではない。だからこそ、多くの人の共感を呼んだのだろう。未見の方は、一部の否定的なレビューに惑わされず、自らの眼で確かめてみることをお勧めする。
能天気に自分の運命は自分で切り開くものだ!とか、私は私の道を進む!とか、安易なポジティブ志向の人には全く響くものがないだろう。その反面、自分の置かれた場所で、自らの宿命に懸命に向き合っている人には、この上ない宝物になるだろうと思う。
新作も待ち遠しいです
公開から2年経っても、まだどこか日本のみならず世界の片隅にで映画館同士が上映を続けています。今年の8月6日には真木プロデューサー、片渕監督、主演のすずさんの声をされ俳優の、のんさんが広島の平和記念式典の後、同公園内で行われた旧中島本町の慰霊式にも参加されました。そして、すずさんの嫁ぎ先でもあり、西日本豪雨で甚大な被害のあった呉にも訪問し映画で得た興行収入から義援金を寄付されたとのこと。もともとクラウドファンディングで資金を集め、片渕監督がご自身の家族の生活費を削って手弁当でプロモーションするなどして作った映画が、多くの名だたる賞を取り資義援金まで納めることが出来るまでになるとは、誰が想像したでしょうか。満を持して12月に公開される新作もとても楽しみです。
良い映画…?
この映画は、過去の反戦映画と比べると、かなり"のんびり"している。のんびりしているのは主人公だけでは無い、周りにいる人間みんなだ…戦時中だというのに(笑)家族(すずや晴美)が空襲の犠牲になっても、いつまでも泣いたりしないし、そんな事があってもまた淡々と日常に戻って行く…そんな事がまるで無かったかの様に。
この人たちはたぶん、怒りや悲しみを静かに胸の内に秘めるのだ。
アニメ映画として、主人公すずのキャラクターも含め、とてもファタジックで面白い。ラストの孤児を広島から連れて帰って来るシーンなど正にそうだった。
しかし、ここで描かれている戦争は、"この世界の片隅"で起こった事なのだ。ファンタジーではいられない…ニオイがしないのだ、この映画には。
*2018年8月、シネリーブル神戸にて。のん舞台挨拶付き再上映会にて鑑賞。
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