この世界の片隅にのレビュー・感想・評価
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戦争を背景に淡々と日常が流れる名作
噂通りの良作です♪( ´∀`)
鑑賞された方の評判が高くて、前から観たかったけどやっと鑑賞しました。
第二次大戦の前後を主人公のすずを通して描かれておりますが、ソフトタッチの絵柄と主人公のすずのホンワカとした性格でなんともほっこりとしたゆるふわな日々を描いていると思いきや、戦局が激化する後半からは怒濤の展開にいろんな事がショッキングに写し出されます。
戦時中で舞台が広島。そして呉とあって、その展開は予想できましたがいろんな事を受け止めても、消化出来るだけの余裕が無いほど話が進んで行きます。
でも、主人公のすずの性格と周りの登場人物の人柄から、なんとも幸せな気分と雰囲気になるのがこの作品の強みです。
時代背景から女性が今よりも強いたげられた存在ではありますが、今よりも家族の絆や人との繋がりをより一層強く感じ、今の我々に無いものや、今の時代が余分な物で溢れている事にも気付かされます。
主人公のすずを演じる、のんこと能年玲奈さんも普通に上手いです。ホンワカとしたすずの性格に声質もあっているんでしょうね。
主人公のすずの性格や絵柄に違う意味騙されるとかなり面食らいますが、戦争の悲惨さと現実を真っ正面から捕らえていて、なおかつ今の時代に投げ掛けるメッセージもあります。
昨今のアニメ作品では珍しい題材の作品ですが、とても良い作品で普通に観て良かったと思います。
今年の後半は「君の名は。」「聲の形」と良いアニメ作品に当たりましたが、この「この世界の片隅に」もとても良い作品です。
まだ、映画作品は鑑賞予定ですが、今年の劇場鑑賞でのアニメ作品を締め括るのに相応しい作品に出会えた事に感謝です♪
人生に残る作品
少しぼんやりしているすずさんの嫁入り騒動記。
当時の生活や風習を丁寧に描写しているので登場人物の実在感が半端無い。故にその日常にいきなり乱入してくる空襲や機銃掃射の恐怖感は短いカットだが際立つ。
生きていれば楽しい事、悲しい事、辛い事、失ってしまった事、後悔する事、色々あるけれど。
だけど無くした事で逆に得る絆もある。
だから頑張って生きていきなさい。
これは優しい人生の応援歌。
方言可愛い…
日常でふと思い出すと涙が溢れてくる映画
能年玲奈の存在をいい意味で忘れる
ふだん基本的にはアニメは見ないし、日本のアニメ映画にものすごい偏見のあった私だが、いろいろきれいに取っ払われた。
まず話題だった能年玲奈の存在を、上映開始後かなり早い段階で忘れた。そのくらいすずは自然だった。
日常と地続きで非日常があり、非日常のなかにも日常がある。究極的には、8月6日も、7日も8日も、任意のn月n日もすべて等価である、と思わせてくれる。
大変なことが起こった、一大事だ、と思ったときに実は何も起きなくて安心し、本当に一大事になってしまったときには次の瞬間にまた日常が待っている。
この普遍性がいつでもどこでも変わらないだけに、戦争という体験が鮮烈に体の中に入ってくる。広島でも、今ならシリアやアフガニスタンのようなところでも、こんな日常があるのだろうと思い、一部でホッとし、また衝撃的にも感じる。
色の使い方が、こうの史代の方法を守りつつも、鮮やかで柔らかく、非常に美しかった。
この世界の片隅に
テンポがとても良く、映像にも引き込まれました。
戦争という現実の前で様々な事が起こり、一つとっても結構な重みがあるのですが、それを軽やかに描いていく。
すずさんはじめ、当時の方のたくましさ、しなやかさが心に残ります。
息子を亡くしたお母さんが、泣いてばかりだと、塩分もったいのうもんねぇ〜と笑い飛ばす。
大好きな母親も父親も同時に亡くしたのに、すんなりと受け止めるすず。
戦争という現実の前では、悲しい事を悲しめないのかな、、
ただ、それが悲壮感ではなく、人間の力強さとして感じられるので、爽やかで清々しい。
全て嘘でも強がりでもないのだけれど「ぼーっとして死にたかった」は張り裂けた想いだったんだろな。
すずさんの、真っ直ぐで、ただ複雑な不安定さもある中で、難しい世の中を生き抜いてる姿に、心揺さぶられました。
素晴らしかった
したたかであることの幸福と悲哀
広島に生まれ育ち、父が呉の出身であることから、ある使命感のようなものを持って鑑賞しました。
とても良作の映画でした。
最後に残った感情としては、やはり表現に戸惑うものがありますが、とめどないやるせなさ、切なさ…という言葉がなんとか当てはまる、そんな想いです。
この映画の特筆すべきはやはり、日常に溶け込みながら、平坦に、けれど確実に、戦争の脅威が人々を呑み込んでゆく描写。
まさに日常と表裏一体のように進んでゆくそれが、ただ恐ろしく感じました。すずや、取り巻く人々の笑顔や素朴な生活が面白く、丁寧に描かれるほどに、その恐ろしさは絶えず際立ちました。
すずたちにとって、初めは些細な生活の変化だったでしょう。
なんとなくご飯が少なくなって、着るものも質素に、できる限りの節約を…と。戦況悪化の過程では、普通に生きる人々の笑顔はまだまだ失われず、このまま皆でいることを疑いもしないのです。
けれど、振り返ったときには目の前にいたように、
焼夷弾が、原爆が「ふいに」落ち、火を放ち、すずたちの大切な生きる証を奪ってゆく。
すずが作中後半から見せる混乱と憤りからは、戦争が、悲しみをぶつけるにはあまりに形を成していないことがよくわかりました。叫んでも殴っても空を切るように、戦争とは当時、世の中そのものだったのでしょう。
だからすずは、懸命に工夫を凝らして生きようとすることで、屈しないこと、変わらないことを証明して、大切な人たちを守ろうとしていたように映りました。
鑑賞していて、絶えずじわりと心を揺さぶられていたのは、すずのそういったしたたかさが、ずっと伝わってくるからだったように思います。
失っても、亡くしても、残された人は生きていかなければならないし、時間が経つにつれ、普通であることはどこかで戻ってくる。
けれど、その中に確かに、喪失の恐ろしさと痛みは重なっていっていて、どこかでまた起こるかもしれない。
「戦争」と「日常」が、ぴったりと寄り添うように描き切られた作品として、唯一無二でした。
この映画はひとりでも多くの人の目に、映って欲しいものだと心の底から思います。
アニメ界のMADMAX
ほのぼの
戦時中の映画ですが、ほのぼのした雰囲気でみれました。
昔は物がなくても、心は豊かに暮らしていたのが感じられて、現代の暮らしとは正反対なんだけど、身近に感じられる不思議な映画でした。
戦争モノだけど、戦争の悲惨さだけが強く印象に残る作品ではなかったです。
この時代に生きた庶民の人々の生活を、巻き込まれていく庶民にとっての戦争とはどういうものかを繊細なタッチで描写された、良い作品だと思います。
物語も良かったですが、この作品を作るにあたり、資金不足で制作困難になりそうだったところを、募集してたくさんの資金が集まったこと、資金提供してくれた沢山の人の名前がエンドロールにあったことも、この作品にたくさんの人の思いが詰まっているのを感じて感動しました。
そして、実際に戦時中の呉の街並みを知る人に話を聞いて、その記憶から風景はもちろんのこと、その頃の日常の品や事柄の細かなことまで、丁寧に書かれていたというエピソードにも、本当に素晴らしいと感じました。
まだ、上映されている映画館は少ないですが、周りの人達にもオススメしたい映画です。
2017年1月追記
この作品が海外からは評価が低いと聞きました。
この作品が、戦時中の全てを書ききれているとは、確かに言えないでしょう。あくまで、庶民の視点の一人の女性から捉えた戦争の姿ですし。
でも、この作品のような戦争の捉え方も、一つの真実だと思います。
この作品をきっかけに、戦争を知らない世代も、戦争を知る世代も「この時代」や「戦争ってどういうもの」かなど、見聞を深めて誰もが不幸にならない世界を創造して行ければ、と思います。
人はたくましいから美しい
言葉にならない
上映中、館内のあちこちからかすかなすすり泣きが聞こえた。
アニメだから、の、胸に染みる空気感。
思い返していろいろ考えると、いやいやでもと言いたくなるところもあるが、観ている間はすんなり素直に感情移入して観ていた。
映画館で観て良かった。
また観たい。
映画「この世界の片隅に」の感想
「戦争映画」ということで、これはちょっと観るのに力がいるな、と思い映画館に足を運びました。
映画が始まってみると、舞台が広島となりこれはさらに力がいるなということになりました。主人公は呉へ越してしまいますが、日付がどんどんと原爆投下の日に近づいていきます。
その途中でも数々のエピソードが挟まれます。それらの演出は過去の戦争アニメ映画に比べ、とても現代的です。恋愛もありますし。テンポも良く、なんだか戦時下の非日常的な日常を淡々と描いているように思えます。
主人公はとても正直で、その日常に順応しています。その主人公の終戦のときのあの感情の爆発は共感できます。「戦争映画」は共感を呼ぶことが必要だと思います。
広島から飛んできた障子を使って蒔を作る。そういう前向きな魅力が主人公にあります。声優も合っていると感じました。
「戦争映画」というなかなか客の入りそうな題材に挑戦することができた制作環境とともに、湿っぽい映像になりそうなこのテーマを力強く、また水彩画的に可憐に描くことができた点が素晴らしいと思いました。
テーマは重いですが、良い作品です。
良かった!
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