劇場公開日 2025年8月1日

「戦争で幸せになる人はいない。静かに胸を打つ作品」この世界の片隅に ごまさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 戦争で幸せになる人はいない。静かに胸を打つ作品

2025年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

以前からずっと観たいと思っていた『この世界の片隅に』。
評判も高く、周囲からも勧められていましたが、
公開時には観る機会を逃してしまいました。

そんな中、リバイバル上映が決まり、ようやく劇場で鑑賞することができました。
上映に携わった方々に、心から感謝したいです。

本作は、柔らかな絵柄と穏やかな語り口で、戦時下の広島・呉に生きる人々の
日常を丁寧に描いています。

戦争映画でありながら、過剰な演出はなく、静かに、しかし確かに、
戦争の悲惨さが胸に迫ってきます。
むしろ淡々と描かれるからこそ、日常が崩れていく恐ろしさが際立ち、
観る者の心に深く残ります。

特に、主人公すずが日々の暮らしの中で少しずつ何かを失っていく様子には、
言葉にならない悲しみがありました。
涙が止まらなかったのは、戦争の残酷さだけでなく、
それでも生きようとする人々の姿に心を打たれたからです。

映画を観ながら、ふと疑問が湧きました。
なぜ太平洋戦争では、民間人の住居が爆撃の対象になったのか。
軍事的な理由があったとしても、そこに暮らす人々の命や日常が、
あまりにも軽く扱われていたように感じます。

戦争とは無縁の世界に生きる私たちに、戦争がもたらす不幸を静かに、
しかし確かに伝えてくれる、そんな作品でした。
こうした映画が作られ、今も上映されていることに、深い意味があると思います。
ありがとうございました。

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ごま
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