劇場公開日 2016年11月12日

  • 予告編を見る

「のんさんの素晴らしい演技は、他の声優さん達の「先撮り」あってこその...」この世界の片隅に 雨丘もびりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0のんさんの素晴らしい演技は、他の声優さん達の「先撮り」あってこその...

2024年1月31日
PCから投稿

のんさんの素晴らしい演技は、他の声優さん達の「先撮り」あってこその「後日撮り」。役者さんみんなが素晴らしい!アクションとリアクションの引き上げ合いということが、もっと知られて欲しい。

【これがユーモア、地獄でも笑えるんだぜ】
やたら評判良いのは聞いていたから、あえて原作読まずに鑑賞しました。
見終えた時には「普通に良い映画だな~」くらいの感想で、すすり泣いてる人たちを後にさっさと帰りました。

帰り道、ちょっと待ってあれだけ大変な時代が舞台の映画で「普通に良い」ってなに?と考え込み、家に着いたときその尊さがようやくわかって、めまいがしました(遅)。

すずさんがごはん作るの失敗しても、あの一家は誰も怒らない。
仲間だから。
みんなで困って、みんなで考えて、みんなで直してみんなで笑う。
何がおきても。何が降りかかってきても。
そのしなやかさ、折れない強さ、尊さ。
嘆かない、責めない、引きずらない賢さ。
やさしさ。思いやり。やりすごす知恵。
ふっとココロの頭が下がります。

嫁いでから、すずさんは一枚も絵を完成させられない。
スケッチ帳も途中まで。周作さんの似顔絵も途中まで。
何かしらの理由で中断してしまう。
結果に届かずとも、成果を上げられずとも、日々の営みを淡々と続けていく彼女の生き方。
工場で図面を燃やす義父さん円太郎も、同じ覚悟を胸に抱いている。

以来、尊崇の念と即ピンとこなかった申し訳なさで、原作熟読し、Bru-rayも買って何度も見直し、原画展も行き、広島の友達にグッズを買ってきてもらい、などなど・・・。
こうのさんのファンになり、「平凡倶楽部」「さんさん緑」「長い道」をよく読み返しますw。

雨丘もびり