「日常と、戦争」この世界の片隅に 俺の映画帖さんの映画レビュー(感想・評価)
日常と、戦争
戦争を題材にした映画としては
異質と言えるほどの悲壮感のなさ。
あくまで戦争は時代背景で、
そこに暮らしている人々の日々を描いた本作。
すずさんの日々はとても楽しそうで、
とてもほっこりさせられる。
しかしそんな楽しい日常が、
戦争によって壊される。
配給の減少程度だった戦争の影が
徐々にすずさん達に忍び寄ってくる。
そしてーーー
悲壮感がないといっても、
それは前半までのお話。
やはりこんな時代では幸せなまま
生きていくのは難しい。
幼稚な感想になってしまうが、ただ漠然と
「あぁ、やっぱり戦争ってよくねぇなぁ…」
という気持ちになる。
「火垂るの墓」のように
悲しいばかりではないので、余計に
そう思わされるのかもしれない。
なんでこんなに楽しく過ごしてるのに、
こんな目に遭わなきゃいけないんだろう…
みたいな。
とにかく悲しくてやりきれない。
しかし、本作は希望を残してくれる。
悲しいだけで終わらないのがスゴい所。
だから何回でもすずさんに会いたくなる。
そしてもう一つスゴいのが、
感動が押しつけがましくない所。
だから人によって泣くところも違う。
まさに十人十色の感想を持てるのだ。
最初は能年ちゃんの声に違和感もあったけど、
どんどんすずさんと能年ちゃんがシンクロ
していくのがわかる。
もはや彼女しか考えられないほど。
本作はキャスティングまで素晴らしかった。
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