「食べて笑って生きていく。」この世界の片隅に ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
食べて笑って生きていく。
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クラウドファンディングによる公開と、のんが声優で復活と
いうことで少しずつ話題になっていった作品が、今では凄い
反響をよんでいる。のんが主人公すずと見事にシンクロした
この作品は、戦時中の市井の人々を温かく描き出しユーモア
に満ち溢れている。彼女の声が目の前に広がる悲劇を和らげ
おそらくは皆がそうしたのであろう生活を淡々と描いていく。
呉に嫁入りしたすずはそのゆったりとした持ち前の明るさを
武器に優しい夫や両親、口煩い小姑(緑子か?)と毎日働いて
いくのだがそれは終生変わらない。妄想好きなすずが冒頭で
何かを発見し、それがラストに繋がる演出には号泣なのだが
爆弾が降る日々の生活の中で逞しく家族を支えたのは戦争に
駆り出された男たちも、家を守った女たちも同じに違いない。
敗戦で日本がどうなるかなんてことより明日の食糧難を考え
なきゃならない女たちには終戦を伝える玉音放送だって長い。
はぁやっと終わった、よっこらしょ。なんて笑ってしまった。
そうだよな、皆こうやって何も分からないまま毎日を必死に
生きた時代なんだ。野花も人間もこの世界の片隅でささやか
に咲きささやかな一生を笑いながら生きていきたいと願った。
戦中戦後だけでなく、全ての人に共通する想いが溢れる作品。
(夫婦の関係もよかった。夫にはすずが初恋の人だったんだね)
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