劇場公開日 2016年11月12日

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「映画「この世界の片隅に」の感想」この世界の片隅に げんたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画「この世界の片隅に」の感想

2016年12月13日
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「戦争映画」ということで、これはちょっと観るのに力がいるな、と思い映画館に足を運びました。

映画が始まってみると、舞台が広島となりこれはさらに力がいるなということになりました。主人公は呉へ越してしまいますが、日付がどんどんと原爆投下の日に近づいていきます。

その途中でも数々のエピソードが挟まれます。それらの演出は過去の戦争アニメ映画に比べ、とても現代的です。恋愛もありますし。テンポも良く、なんだか戦時下の非日常的な日常を淡々と描いているように思えます。

主人公はとても正直で、その日常に順応しています。その主人公の終戦のときのあの感情の爆発は共感できます。「戦争映画」は共感を呼ぶことが必要だと思います。

広島から飛んできた障子を使って蒔を作る。そういう前向きな魅力が主人公にあります。声優も合っていると感じました。

「戦争映画」というなかなか客の入りそうな題材に挑戦することができた制作環境とともに、湿っぽい映像になりそうなこのテーマを力強く、また水彩画的に可憐に描くことができた点が素晴らしいと思いました。

テーマは重いですが、良い作品です。

げんたろう