「とても楽しい映画です」この世界の片隅に htsmさんの映画レビュー(感想・評価)
とても楽しい映画です
この言い方が正しいのかはわかりませんが、笑ってしまうシーンも多い楽しい映画でした。
主人公たちは、昭和の、戦争の世に生きており、現代に生きるこちら側から見ればショッキングだったり、考えさせられたり、思うところがあるようなシーンもたくさんあります。しかし、それら全てが彼らにとっては日常です。主人公の行動が世界を変えたりはしません。ただ日々を生きているだけです。そのことをこんなも面白く描けている。登場人物が皆、生き生きと実在感があって、アニメ・実写問わず非常に稀有なことをやってのけている作品だと思います。考えぬかれた描写、丁寧なアニメーション、実験的とも言える演出、それらがすべてこの作品の特出して印象に残る点にはなっていません。もはや遠い国や物語の中の出来事である「自国が戦争当事者である」という状況を、我々の日常と地続きであるという実感を伴って描けていることもこの映画の意義深い面ではありますが、主人公たちが生きている姿を見つめているだけで楽しいものにしていることこそ、この映画の特別に素晴らしい点であると感じました。(あの出来事が20年の8月に起こるのだと知っていると、より物語に没入できるなとは思いますが)
すごく楽しい映画なので、あまり構えずにいろいろな人に観て欲しい作品です。あと三回くらいは劇場に行きたい。
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