「もっと上映館を!」この世界の片隅に 郷愁さんの映画レビュー(感想・評価)
もっと上映館を!
原作未読です。
心に深く、深くしんしんと沁みわたる作品でした。
強く優しく、習慣にとらわれながら、良くも悪くも昔の日本の生活がある。
例えそこに戦争という影があっても生活は続き、人々は明るくあろうと生きてゆく。
たんたんと展開していくなか、序盤から随所に笑いが散りばめられていて、とても和やか。
水彩画のような世界観も暗くなりがちな戦争映画とは一線を画していてホッとさせられます。
しかし日付が(昭和)20年に近付くにつれ、胸がざわついていたのは私だけではないはず。
そして8/6を待たずに起きる事件。
不意をつかれて胸がしめつけられます。
今の時代に生きる私だから、ついすずさんに幸せになって欲しいなどと思ってしまいますが、そんな私を嘲笑うかのように物語は続き、私の上から目線の同情など恥ずかしいくらいに強く生きる登場人物たち。
最後のエンドロールまで全てが物語で、タイトル通り、かつての日本に確かにあったであろう物語。この世界の片隅にあった物語。
満足の2時間でした。
正直言うと、声優能年のんさんが未知数過ぎておそるおそる観賞しましたが、全くの杞憂、いやむしろのんさんが最高にすずさんでした!
何度も出てくるアチャー(?)という口ぐせもぜんぜんくどく感じさせず、笑顔を分けてくれるアクセントになっているように感じました。
ずっとゆるふわだっただけに終盤の感情の爆発の場面の鬼気迫る感じが臨場感溢れていて素晴らしかったです。
強く優しく柔らかいすずさんに感情移入120%です。
ぜひ多くの人に見てもらいたい。
上映館がとても少ないのが残念で仕方ありません。。
増やして~( ・ε・)
1/11追記
正月に両親を連れてまた観てきました。
母はとても喜んでたし、父も「しみじみニヤニヤしとるんじゃ」で声を出して笑ってました。
良かった(^w^)